魚との知恵比べ -魚の感覚と行動の科学-
水産学博士の川村軍蔵氏が魚の科学的考察をまとめた書籍で、平易な文章で書かれているので読みやすく、釣り人だったら絶対読んでおいたほうが一冊だと思います。
章立ては、
第1章 魚の知恵と学習能力
第2章 釣られやすい魚と釣られにくい魚
第3章 魚の見る能力
第4章 魚が好む色
第5章 魚が好む音と嫌う音
第6章 魚が好む味と匂い
第7章 ウナギの生体磁気コンパスと回遊
第8章 魚を集める技術
第9章 毒植物で魚を獲る
となっていて、これだけでもこの本がいかに釣り人にとって有用であるかということがわかってもらえるかと思います。
内容は、どこを紹介すればよいのか困ってしまうほど、釣り人にとって有益な情報ばかりなため、その中から3つほど紹介します。
ひとつは、最近、ケイムラカラーなどといって紫外線を浴びると蛍光発色するアイテムがいろいろ発売されています。しかし、すべての魚が紫外線を感知できるというわけではなく、マダイ、ヘダイ、クロダイ、コショウダイなどは紫外線を感知できないようです。
私は両軸遠投カゴ釣りの仕掛けにケイムラウイリーを使っていましたが、マダイには意味のないただの毛であったというわけです。
せっかくケイムラアイテムを購入しても、対象が紫外線を感知しない魚種であったら効果的とはいえなそうです。
もうひとつは魚が好むエサの色というのがあり、釣り人にとって大本命ターゲットであるメジナとクロダイは、同じオキアミでも、特に黄色に着色されたものを好んで摂餌するんだそうです。
最近、マダイ用のネリエサでまっ黄色のものが販売されましたが、この習性を根拠に黄色にしていたんですね。
ということはハリ色も工夫してみると、メジナやクロダイの釣果アップにつながるかもしれません。
そして最後に、ダイワの配合エサシリーズ「アミノX」は、著者の川村軍蔵氏の実験結果をもとに開発されたもので、このアミノXは焼酎かすを利用して製造しているんだそうです。
焼酎かすは、オキアミエキス以上の誘因効果を発揮するのですが、焼酎かすの濃度が強すぎると逆に魚の食いが下がってしまうそうで、「焼酎かすは優れた誘魚剤になり得るが釣りの掛け餌には使えそうもない」と結論付けてます。
そのためアミノXシリーズは食わせエサとしてオキアミも販売されていますが、より効果があるのは配合エサということなんですね。
アミノXは配合エサとして素晴らしく優秀だと思って間違いなさそうです。
ほかにもなるほどと、はたと膝を打つような情報が満載されているので、この本、絶対おすすめです!
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