一緒に語ろう! ~あるテーマを語り尽くす座談会~

第35回 釣り人よ、包丁を握れ! ~剣は竿より強し!~

  • 司会:友人・小野寺
  • 論客:佐藤 オキアミ、オダ マルソウダ
  • 収録:2014年11月某日 静岡県伊豆の国市「くるまやラーメン大仁店」にて収録

東京湾の金アジで造ったアジ刺し

釣り人の特権といえば活き締めにした新鮮な魚の超美味な刺し身が食べられること。鮮度抜群の刺し身は味や食感が段違いであり、そこいらの居酒屋で食べられる刺し身とは比較にならないうまさなのだ。
また、活き締めにした魚なら鮮度を落とさずに熟成させることができ、歯ごたえを残しつつも旨味抜群の刺し身も楽しむことができる。
釣り人たるもの、釣った魚に責任を持ち自分で卸して刺し身にするべき。自分が釣った魚で、家族や友人をぜひもてなそう!

――今回は「釣り人よ、包丁を握れ!」というテーマで語ってもらおうと思います。オキアミ氏の持ち込み企画です。
佐藤 ちょっと前に、杉田臨海緑地で竿を出していたら、お隣さんが立派な金アジをくれたのよ。事情を聞いたら、妻は魚を捌かないし、自分も捌けないから釣って楽しむだけなんだと。男子厨房に入らずとは言うけれど、ちょっともったいないよねえ。
オダ お前、けっこう魚を貰ってるよね。この前もヒラソウダを貰ってたじゃない。うらやましいわあ。
佐藤 たぶん、隠さずうらやましいという表情が出ちゃってるんだろうね。本当によく「持ってくか?」って声を掛けてもらえる。ありがたい限りだよ。
――釣り人って意外なほどに気前がいい人が多いですよね。皆さん、魚を捌けないのか、それとも好きじゃないのか。
佐藤 食べないからくれるんだろうけど、やっぱりせっかく釣ったのなら食べないともったいないよねえ。オレは釣った魚を捌くことも大好きで、最近では釣り以上に魚を捌いて料理することのほうが楽しいもの。
オダ どんな魚料理が得意なの?
佐藤 お刺し身だね。
オダ お刺し身? お刺し身なんて切っただけじゃない?
佐藤 お前、お刺し身をバカにするんじゃない! 丸の魚を捌いてお刺し身に切り出すのに、どれだけ技術がいると思ってんだ!
オダ いや、まあ、そりゃわかるけどさあ。
――でもお刺し身って、確かにかなり難しいですよね。数を捌かないと、上手に柵取りなんてとてもできない。
佐藤 でしょう? オレは何度も練習をして、最近ではかなり上手に捌けるようになったんだから。皮引きなんて難しいよ~。丸の魚から刺し身を切り出すことが、何より楽しいの。
オダ 母ちゃんに教わったの?
佐藤 いや、ユーチューブです。料理の世界は見て覚える世界っていうけど、確かにその通りだわ。上手な人の包丁さばきを目に焼き付けてイメージできるようになると、不思議と下手なりに捌けるようになるんだよね。見て覚えるだなんて、なんて非効率的なんだと思っていたけど、でも見て覚えるのが一番早いわ。
――実はめちゃくちゃ効率的だったと(笑)。
佐藤 いや、本当にそうなんだよね。スポーツもそうじゃない。世界中でユーチューブ革命が起きて、サッカーにしても柔道にしてもテクニックが恐ろしい勢いで広まったわけでしょ? 徹底的に見て覚えることで、ちょっとの練習で不思議とできるようになる。脳みその中でイメージできるようになるのが大きいんだろうね。
オダ じゃあ、魚はユーチューブで捌けるようになる?
佐藤 なるね、確実に。わからない、できないという先入観を捨ててしまって、数回練習すれば誰でもそこそこ捌けるようになる。超不器用なオレですらできたんだから、誰にだってできると思うよ。
オダ でもさ、刺し身の柵取りは確かにユーチューブとか見て覚えないとできないと思うけど、内臓抜いてエラ取ってなんて誰にでもできるじゃない? 東京湾の金アジだったら塩焼きにしたって絶品なんだから、それぐらいやればいいのにね。
――確かに。刺し身だけが魚料理じゃないですからね。
オダ 前にオキアミがブログに掲載してた壺抜きなんてやり方もあるじゃない? たぶんさ、知らないんだよね、そういったこと。煮魚は味付けがあるからちょっと難しいけど、塩焼きなんて誰でもできるじゃない。塩振って焼くだけなんだし、絶妙な焼き加減さえ求めなければ。
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――オダさんはどんな魚料理が得意なんですか?
オダ オレ? オレはサンマの刺し身。
佐藤 お前も刺し身じゃないか! お前さっき刺し身は切っただけってバカにしてたじゃないかよ(笑)。
オダ いやあ、オレのサンマの刺し身は超簡単だから、それこそ切っただけなんだよ。でもオレだってそこそこ魚は捌けるからね。オレたちは高校まで家庭科の授業があったし、世代じゃないの?
佐藤 ああ、確かに世代だろうね。自分よりも明らかに年上の方からしか、魚は貰ったことないもの。
オダ でしょ? 世代が下がるほど男の料理率が上がってるんだよ、きっと。自炊が当たり前になっているから、若い子ほど魚ぐらい余裕で捌けるんじゃない? 上の世代ほど経済力はあっても生活力のない人間が多い気がするよ。
――最近の若い子たちは居酒屋にもあまり行かないで、家飲みすることもかなり多いそうです。
オダ 家飲みするんなら、料理を作る人も相当多いんじゃない? だってお互い自宅でスカイプしながら飲んだりするんだって。どんだけ最先端な飲み会なのよ(笑)。顔すら合わせない。
――生活力ありすぎですよね(笑)。じゃあ、包丁を握ったことない釣り人でもできるおすすめの料理はありますか?
オダ だから塩焼きだよ。
佐藤 いや、でも、オレはやっぱ刺し身だよね。だって活き締めした新鮮な魚は刺し身で食べてこそ真髄がわかるもんじゃない。包丁がどうこうと甘っちょろいこと言ってないで、刺し身を造れるようになるべき。竿の前に包丁を握れといいたい。
オダ 確かに、おいしい刺し身が食べたいから釣りをやってるってとこあるよね。
――そうなんですよね~。活き締めにした魚って本当においしいですからねえ。アジなんて特にうまいです。
佐藤 アジは寝かさないでも不思議とうまいよね。最初に言ったお隣さんから貰ったアジは、締めてその日の晩に刺し身で食べたけれど最高だった。アジはやっぱり白身とは違うよね。
オダ オレはしめ鯖が驚いたよ。サバがいいとさ、家庭で作ってもプロ顔負けの絶品なものが作れるよ。しめ鯖なんて、三枚に卸しさえすればいいわけだし、骨は抜くけれど大して難しい料理じゃないしね。
佐藤 カワハギもうまいよね~。肝を贅沢食いできるのは釣り人の特権だし、汁にすればダシがめちゃくちゃ出てトラフグレベルの味わいだよ。
オダ でもさ、カワハギってかなり釣った場所によって味が違うよね。磯場で釣ったカワハギって、血抜きしてもけっこう臭いことが多いんだよ。せっかく秋に釣ったのに肝が少しも育っていなかったりするし。
佐藤 そうそう、意外に磯で釣ったカワハギって美味しくないことが多いんだよね。逆に港内で釣ったカワハギは絶品!
オダ マジ、そうだよ。カゴ釣りが盛んなポイントで釣ったカワハギは超うまいよ。やっぱり、アミエビやらオキアミが身質をよくするんだろうね。
佐藤 メジナもおんなじ。夏はメジナが臭いっていうのが通説だけれど、常に釣り人が入っている磯で釣れたメジナは夏でも臭くない個体は多いよ。脂が乗ってめちゃくちゃおいしかったもん。
――オキアミがなせる技ですね(笑)。
佐藤 それにオレの持論だけれど、ちょっとしたホームパーティーで丸の魚を卸してふるまえば、かなりかっこいいと思うんだよね。昔小学生の時に空手をやっていたんだけど、空手の先生が釣り好きで、自分が釣ってきたデカイ魚を捌いてくれて、かっこいいし、おいしかったなあ。
オダ 確かにそれはかっこいいよね。女性もそれで落とせるかな?
佐藤 ・・・・・・いや、落ちない。おいしいパスタやグラタンを作れるほうが評価高い、きっと。
オダ そうだよなあ。オレもサンマの刺し身が何よりも好きだっていう女性に出会ったことないよ。でもたまに、回転寿司にひとりで来ている女の人を見かけるよね。
佐藤 そういう人に出会いたいなあ。そういう人なら、カワハギを見事に捌いてお刺し身を造れば、あるいはいい男と評価してくれるかもしれないなあ(遠い目)。
オダ アッハッハッハッ、もうさ、魚が捌けるぐらいが男っぷりの自慢になっちゃって、悲しい野郎そのものだよね(笑)。
佐藤 ・・・・・・まあ、とにかくさ、奥さんやお母さんが捌いてくれないなら、やっぱり自分で卸して、味まで語れるようになってこそ釣り人だと思うんだよなあ。釣り人ならではの特権である絶品の刺し身の味をぜひ味わってもらいたい。
オダ あ、思い出した。前にしめ鯖を食べ過ぎてお腹を壊してたよね? それも釣り人ならではの特権?
――アニサキスですか? ヒスタミン?
佐藤 いや、単純にアレルギー(笑)。食べ過ぎると2~3日胃がシクシクと痛んで、けっこう辛いんだよね。家族はなんともないから、ヒスタミンでもアニサキスでもなくアレルギーだろうと。サバがたくさん釣れてバクバク食べるまで、まさか自分にサバアレルギーあるなんて思いもしなかったよ。
オダ いいですなあ、サバを食べ過ぎてアレルギーなんて、釣り人の特権そのものじゃないですか。
佐藤 くぅ~、今日はオダ氏の皮肉が冴え渡っていますなあ~。

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