東京湾はスズキの生息数日本一とも言われ、刺し網漁などで漁獲されている。スズキは上質な身質で人気があるため料理店で重宝され、高値で取り引きされる商品価値の高い魚なのだ。しかし、東京湾は先の福島第一原発の事故によるセシウム汚染と、いまだ解決されていないダイオキシン汚染にさらされており、特に汚染の影響を受けやすいスズキは、人の口に入れるには危険な個体も・・・・・・。
東京湾は、スズキのほかにウナギも高セシウム値が検出されており、せっかく釣れたからといって口にするには危ぶまれる状況にある。
――今回は我々のホームグラウンドである東京湾について「東京湾産の魚介類は安全か?」というテーマで語ってもらいます。 | |
佐藤 | オレら学者じゃないし、専門家でもないけど? |
――もちろんあまりにいいかげんなことは言わないでほしいですけど、ネット情報とかで仕入れたネタを語ってもらえれば結構です。 | |
佐藤 | ふ~ん、それならいいけど。まずさ、東京湾が安全かどうかってことは、東京湾に汚染物質が流れ込んでいるかどうかってことが肝になるわけだよね? |
――そうですね。例えば、福島第一原発事故によるセシウムの被害は東日本全体に広がっていて、なにも東京湾だけがセシウムの被害にあったというわけではありません。 | |
オダ | セシウムは海よりもさ、湖がやばいって聞くよね。環境的に汚染水が溜まりやすくて、なかなか排出されもしないし薄まりもしないっていう。 |
――群馬県高崎市の榛名湖では依然としてワカサギから基準値超えのセシウムが検出されてしまう状況のようですね。 | |
佐藤 | 東京湾だってウナギから高いセシウム値が検出されたじゃない。江戸川で採取された個体から140ベクレル以上の数値が検出されたらしいよ。 |
オダ | 国の基準値は100ベクレルだからね、そりゃちょっと高いですな。 |
佐藤 | どうも河口域はホットスポットになっているようだよね。ウナギはさ、河口に住んでいるエビやらカニやらを食べているからきっと生物濃縮で基準値が高くなったんだろうね。 |
――水産庁から発表された「平成25年9月30日までの検査結果」という資料を見ていただきたいんですけど、東京湾域で採取された魚でセシウムが検出されたのはスズキとウナギ、それとクロダイなどですね。しかしどれも大体は10ベクレル以下ですね。 | |
オダ | 資料を見るとウナギだけがちょっと高めだね。中には30ベクレル検出された個体もいるみたいだし。 |
佐藤 | スズキもウナギもクロダイも、やっぱり強い魚だよね。ということはつまり、生物濃縮でセシウムが蓄積されるのかな? |
――だと思います。でも東京湾だけの話ですけど、マゴチやヒラメ、カレイといった底性の魚からは検出されていないんですよ。 | |
佐藤 | う~ん、どうしてだろうねえ。つまりセシウムは底に沈まず、海中を漂っていることなのかしら? |
オダ | どうなんだろうね? 生物濃縮だけで考えたら、ヒラメやマゴチからだってセシウムが検出されてもおかしくないんだからさ。 |
佐藤 | まあ、我々は学者じゃないから原因まで考える必要はないけど、どういった魚からセシウムが検出されているかだけでも知っておいたほうが良いよね。 |
オダ | ちょっと福島県沖を見てごらんよ。最高でアイナメが1700ベクレルなんてとんでもない数値になっちゃってるよ。 |
佐藤 | 基準値の17倍! ほかにもクロダイ、メバル、クロソイ、カレイ類、スズキなんかも基準値超えしているじゃない。これはやばいね、ちょっと。 |
――まあ、ここに掲載されているのは一例なので、福島県で獲れたアイナメすべてが安全基準を満たしていないというわけではありませんし、市場に出ているものは検査を受けているので安全安心と思って大丈夫だと思います。 | |
オダ | そりゃあ市場はそうだろうけど、釣り人が思い思いの陸っぱりのポイントから釣った魚を食べていたら、もしかしたら危ないんじゃないのかな? |
佐藤 | 確かに。行政指導というかさ、なんか釣り人に対してもそういうのがあってもいいと思うんだけどね。漁師さん以外だって魚を獲るんだからさ。 |
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――話を東京湾に戻すと、放射性物質のセシウム以外にもダイオキシン汚染の問題もあります。 | |
佐藤 | オレはむしろダイオキシンのほうが問題じゃないかなって思っているよ。スズキやアナゴの脂に多く含まれているんでしょ? |
――そうみたいです。東京湾のダイオキシン汚染は深刻なようで、汚染は地域差というよりも個体差のほうが大きいようですね。同じ場所で漁獲された魚でも、個体によっては危険なほどダイオキシン汚染されている場合があります。 | |
オダ | 江戸前のアナゴったら高級品よ? 寿司屋や天ぷら屋が競って買っていくんだから。それがダイオキシンに汚染されているなんてさ。 |
――当然市場には基準がありますから、そういった問題はクリアされていて大丈夫だと思いますけど。 | |
佐藤 | ならやっぱり問題は釣り人だよね。アナゴが釣れたからって安易に食べると、めちゃくちゃダイオキシンに汚染されていた個体かもしれないし。行政もさあ、釣り人に向けてちょっとはアナウンスしろよ!って思うよ。せめて大型釣具店に情報を提供して呼びかけるとかさあ。 |
オダ | まったく無視をされているのか、それとも無駄な混乱を起こさないようにしているのか・・・・・・。 |
――対策のひとつとしては内臓を食べないことですね。筋肉に比べて汚染物質の濃度が高いようですから。 | |
オダ | あとは大きさだろうね。江戸前のアナゴだって、天ぷらになるぐらいの大きさまでしか食べないじゃない? だから40cm程度だよね。スズキもさ、食べるのは50cmぐらいまでのフッコクラスまでにしておくとかね。 |
佐藤 | まあさ、東京湾の魚を食べて公害が発生したなんて話は聞かないから基本的には問題ないんだろうけど、かといってろくに知識もない個人の判断ってのも危険だよね。あまりにも無知蒙昧ってのも釣り人としてよくないね。ちょっとは調べるなりなんなりしないとね。 |
オダ | あとは、江戸川河口域で釣れたウナギは念のため食べないほうがいいよね。報道されたばかりであるし。 |