ハリは、釣りにおいて直接魚に触れる唯一のアイテムであり、狙う魚の特徴により様々な形状や大きさが用意されている。例えばムツバリは、ハリ先を極端にねむらせることで魚の口のカンヌキ部に掛かりやすいよう設計されており、歯の鋭い魚やエサを丸飲みにする魚を掛ける場合に向いていると言われる。また、マダイやクロダイといった口の堅い魚を掛けるには、鋭いハリ先を立たせたマダイバリやチヌバリが有効となる。しかし、せっかくの計算された形状も、掛ける魚に対しハリの大きさが合わなければ、性能を100%引き出すことはできないのだ。
――今回は“魚を掛けるために重要なこと”というテーマで語ってもらいます。 | |
オダ | そのテーマをオレたちにふる? ひとよりも釣果を上げることなんてないのにさ。 |
佐藤 | こっちが知りたいくらいだよね。 |
――まあ、そう言われると思いましたが、ご自分ができるできないは棚に上げて、こういうテクニックを本で読んだとか、そういったことを語ってもらえればけっこうです。 | |
オダ | う~ん、それでもちょっと難しいけどね。この前オキアミは田子港でさ、両軸遠投カゴ釣りを2本バリ仕掛けでやってたよね? あれはどうだった? |
佐藤 | 今回の釣果だけでいえば1本バリ仕掛けとあまり大差はなかったかな。仕掛けの本線にはマダイバリ(OH閂マダイX)、エダスにはマスバリ(OHマス競技用)を結んだんだけどね。結局、エダスのマスバリにだけチャリコが掛かってさ、マダイバリに付けたエサは、ハリの形になって残ってきたよ。 |
――その食い方はカワハギの可能性が高いですね。 | |
オダ | うん、実際カワハギを1枚上げているしね。じゃあ両軸遠投カゴ釣りにおいては、2本バリ仕掛けはあまり意味がないのかな? |
佐藤 | いや、そんなこともないと思うよ。たまたまデカいマダイバリに掛かってくる魚がいなかっただけでさ、型の良いマダイやソウダガツオなんかが回遊していたら、また釣果が違ったと思う。それにハリを結び直す必要もないから、なかなか効率的ではあったよ。 |
――ハリのサイズや形状というのは釣りにおける永遠のテーマというか。 | |
佐藤 | ハリは釣れる釣れないという要素の大部分を占めているんじゃない? ハリのサイズって奥が深くてさ、小さいハリを使えば高確率で掛けられるけど、魚の歯によるハリス切れやハリそのものが折れたり伸びたりする。かといって大きなハリだと、そもそも魚の口に掛かりにくいけど、掛かりさえすれば魚の上アゴやカンヌキにがっちり掛かることが多いしね。ハリのサイズってのは常に頭を悩ますね。それもあっての、さっきの2本バリ仕掛けなのさ。 |
オダ | なるほど~。でもさ、カゴ釣りだとさ、グレバリ系統の小さいハリを魚に飲ませて確実に釣るって人もけっこう多くない? |
佐藤 | 多いね。オレも一時期そうしていたけど、魚にハリを飲まれるとハリスがすぐにギザギザになっちゃうし、ハリを抜くにも時間が掛かるからいいことないなって。でも、イサキやマアジなんかは、あえてノド奥にハリを掛けたいから小さいハリを使うけどね。 |
――ああ、口が弱いですからね。なら大きすぎず小さすぎずぐらいのハリを使えばいいのでは? | |
オダ | そのセレクトは難しいよ~(笑)。それができればみんなやっているよね。でもさ、カゴ釣りにおいてはチヌバリが優秀だなって感じるな。大きさ形状ともにちょうどいいよ。 |
佐藤 | オレもチヌバリが万能だなって思うね。あとはセイゴバリかな。 |
オダ | とにかくハリはチヌもグレもセイゴもマダイもムツも持っていたほうがいいよ。大して使わない竿にお金を掛けるなら、ハリに投資したほうがいいんじゃないのかな。 |
――そうですね、確かにそれは一理ありますね。 | |
佐藤 | あとはハリもそうだけど、エサも重要だよね。いかにして本命に最適なエサを供給するか、もしくはエサトリが多いなかでもいかにして本命まで付けエサを届けるか。これはカゴ釣りをしていて、毎回苦心しているかな。 |
オダ | エサもなかなか難しいよね~。コマセだってオキアミやアミエビをそのまま使うか、または配合エサを入れるかで全然違うしさ。あとは付けエサの大きさの問題もあるしね。 |
佐藤 | 例えばカレイは虫エサを房掛けにするのが基本だけど、シロギスはハリなりに付けるのが基本だし。メジナだったらオキアミを丸のまま付けるか、頭を取るか、食いが渋いなら頭だけ付けるとかね、とにかくエサってのはハリと同じくらい奥が深いよ。 |
オダ | そうだよね。根魚を狙うならベラなんかを回避できる身エサが有効だけどウツボには弱いとか(笑)。エサによる釣り分けはある程度はできるよね。ウツボがイヤなら虫エサが有効だしね。そういえばさ、根魚だけを狙って掛けられる付けエサってある? |
佐藤 | う~~~ん、なんだろう・・・・・・。なにかある? |
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――う~~~ん・・・・・・エサではないですけどワームとか? | |
オダ | ああ、ワームねえ。ワームだわ、根魚だけを釣ろうと思ったらワームが有効だね。 |
佐藤 | 船の沖釣り専門の人も、やっぱりエサにはかなりこだわりがある人が多いよね。例えば根魚を釣るのにドジョウや金魚なんかを使う人もいるし、身エサにしたってサバだけじゃなくて鮭皮やアナゴを使う人もいるし。 |
オダ | 釣りエサも大いに研究するべき釣りのテーマだよね。 |
――ハリとエサの重要度は理解できましたが、テクニック的な部分はどうですか? | |
佐藤 | 当然重要ですが、語れるほどテクニシャンじゃないです。 |
オダ | オレも同じ。語れるほどのテクニックを身に付けてない。でもさ、竿さばきなんかのテクニックじゃあないけど、魚が釣れないときはハリスを細くするといいっていうよね? |
――それはよく聞きますね。あれはなんででしょうね? | |
佐藤 | オレが前に聞いたのは、ハリスが細いほうが潮によく馴染むから、付けエサをより自然な状態で漂わせる演出ができるからって聞いたよ。オレも経験があるけどさ、前にオダと回遊魚を狙って伊東港で竿を出した時さ、オレはハリス4号で1ヒロ、オダはハリス3号で2ヒロだったんだけど、オダの方がよく釣れてたね。回遊魚が多ければオレの仕掛けでも問題ないけど、少ない場合はより自然な状態で漂っている付けエサを、回遊魚といえども好んで捕食するようだね。 |
オダ | ハリスってのも奥が深いよ。長いほうが当然いいんだろうけどさ、長ければ長いほどコントロールできなくなってくるし、第一取り込みしづらいからね。それでも攻めるなら、ハリスは長めで細めだよ。デカい魚が掛かると簡単にぶった切られちゃうけどさ。 |
佐藤 | あとはできるだけいい道具を使って、腕を磨くしかないんじゃない? これ確信を持っていえることだけど、道具は極力よい物を使うっていうのが重要だね。あんまり安い道具を使うと、いろんなトラブルが発生して釣りどころじゃなくなるよ。 |
オダ | 結局、安かろう悪かろう、安物買いの銭失いってことだね。 |
佐藤 | その通りです! |
オダ | でも、わざと格安タックルを使ったチープな釣りを楽しむってのも面白いんだよね。 |
佐藤 | オダはバカ竿の魅力の虜になった男だよね |
オダ | うん、ブッコミ釣りなんかでさ、竿が折れるかどうかの攻防をするのがたまらなく面白いのよ。 |
――ハリスが切れるかどうかじゃなくて、竿が折れるかどうか(笑)。確かにそれはある意味究極の釣りですね! |