一緒に語ろう! ~あるテーマを語り尽くす座談会~

第10回 故・大塚貴汪氏について ~偉大なる沖釣りのエキスパート~

  • 司会:友人・小村
  • 論客:佐藤 オキアミ、オダ マルソウダ
  • 収録:2013年3月某日 神奈川県川崎市・日高屋川崎銀柳街店にて

大塚貴汪

2012年9月、呼吸器不全でご逝去された大塚貴汪さん。ダイワ契約のプロアングラーとして、沖釣りの楽しさをテレビや雑誌、フィッシングショーなどで伝え続けた。
大塚さんは細く感度良好な竿、軽い小型リール、細く丈夫なPEラインなどをメインタックルにしたライトタックルゲームを提唱。いかに魚をハリに掛けヤリトリを楽しむかを重視した釣りを展開した。
特にカワハギ釣りにおける氏の功績は大きく、エサトリ名人と言われるカワハギを効率よくハリ掛かりさせるメソッドを確立したことにより、それまで関東圏が中心のローカル釣りであったカワハギ釣りが、いまや全国区にまで成長を遂げた。

――今回は昨年の9月(2012年)に呼吸器不全でご逝去された沖釣りのエキスパート・大塚貴汪さんの偉大さについて語ってもらいたいと思います。
佐藤 オレは大塚貴汪さんが亡くなっていたことを今年に入ってから知ったのね。愕然としたというか、ホント、言葉になんなかった。
オダ オレも大塚さんが亡くなっていたことは最近まで知らなかったわ。「ザ・フィッシング」に出ないなとは思っていたんだけど。
――どうやらご本人の遺志で公表は差し控えたようですね。
佐藤 亡くなる直前の出演だったと思うんだけど、大塚さん、ガラガラ声でさ、番組では「夏風邪をひいてしまいました」って言ってたのよ。今から思えば大病していたことがわかるけど、そんなことおくびにも出さずに釣りを紹介していたからね。本当にプロ意識の高い方だったんだなと思います。
オダ オレも何回か大塚さんが枯れ声で出演しているのを見たな。夏風邪にしちゃあ長いなと思っていたけどね。まさかそれからすぐに亡くなるとは・・・・・・。
――大塚さんの功績というとなんだと思いますか?
オダ 大塚さんのライフワークといえばライトタックルゲームだよね?
佐藤 あとはカワハギかな。カワハギ釣りのゲーム性の魅力が全国区になったのは大塚さんの影響がでかいと思いますよ。
オダ 大塚さんってさ、船の沖釣りを極力簡単に、シンプルにって方向性を打ち出した人だったよね。だから陸釣りしかやらない人間は船釣りに敷居の高さを感じるんだけど、大塚さんはその敷居を下げようとしていたのは見ていて感じてた。
佐藤 そうそう、大塚さんはカワハギとかタチウオとかさ、身近な釣り場で楽しめる魚種を紹介してくれるんだよね。だから「ザ・フィッシング」を見ると、明日にでも沖釣りをしてみたくなるんだよ。オレ、ツタヤの無料ネットレンタル(TSUTAYA DISCASTSUTAYA DISCAS)で大塚さんのDVD(ザ・フィッシング プレミアム・コレクション 大塚貴汪編ザ・フィッシング プレミアム・コレクション 大塚貴汪編)を借りて見たんだけど、やっぱり釣りがダントツに面白いんだよね。
オダ あとさ、大塚さんって大物志向があまりない人だったよね?
佐藤 ああ、そうだね。ほとんどの釣り人は大物志向に走りがちだけどさ、往年の大塚さんはライトタックルを使って、いかに掛けた魚とヤリトリするかってことに重きを置いていたと思う。
――今は沖釣りのライトタックルゲームであるひとつテンヤのマダイ釣りが流行っていますよね。この釣りもヤリトリ重視ですよね。
佐藤 大塚さんが言っていたんだけど、ひと昔前は沖釣りっていうとヘビータックル中心で、とても繊細とは言えなかったんだってさ。ひとつテンヤと大塚さんのライトタックルゲームはまた違う物だけど、船釣りそのものが豪快な釣りから、大塚さんが唱え続けたヤリトリ重視の繊細な釣りにシフトチェンジし始めたってことじゃないのかな。
オダ そうだよね。ひとつテンヤ釣りはPEライン0.8号とかでしょ!? それでマダイを釣ろうってんだから、ライトタックルの極みだよね。でも大塚さんはどちらかというと、既存の沖釣りターゲットをライトタックルゲーム化していってたよね?
佐藤 ひとつテンヤも紹介してたけど、大塚さんといえばタチウオやヒラメ、マルイカ(ケンサキイカ)、マダイのコマセ釣りとかだよね。それとさ大塚さんって、ライトタックルゲームをライフワークにしていたけど、何気に日本記録級のマハタを釣っていたりとか、大物釣りも得意だったんだよね。あとね、オレは大塚さんの素晴らしさはもうひとつあると思うんだけど。
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――なんでしょう?
佐藤 大塚さんって全然巨匠ぶったりしないでしょ? 解説も言葉遣いも非常に丁寧なんですよ。本当はとんでもない釣りの達人なのにさ、偉ぶったりしないの。だからテレビで見ていて非常に好感が持てて、益々大塚さんの釣りが魅力的に感じるんだよね。
オダ ああ、大塚さんの人柄は際立って素晴らしいよね。これは批判なんだけど、表紙に特徴のある某バス釣り雑誌でフューチャーされているバスプロとか、鼻についてたまんないよ。
――あっはっはっはっ、それはその某バス釣り雑誌の取り上げ方に問題があるんじゃないですか?
オダ 実際はそうなんだろうけどね。でもさ、「ノーフィッシュでも自分の釣りを貫いたことに意味がある」とかさ、チーマー風なバスプロを「等身大のバス釣りヒーロー」とか言ったりさ、頭がおかしいんじゃない?って思ってしまうのよ。
佐藤 どうして大塚さんの素晴らしさを語っているときに、某バス釣り雑誌の話をするのよ(笑)。
オダ いやあ同じ釣り人なのに精神性が全然違うからさあ。残念でしょうがないよ。
――いやだから、それは編集者がいけないんだと思いますよ。
佐藤 オレもそう思うな。その某バス釣り雑誌の編集者が変なんだと思いますよ。
オダ でも大塚さんは「ノーフィッシュでも自分の釣りを貫いたことに意味がある」なんて絶対言わないよ。工夫がないだけだもん。
佐藤 だからそれは某バス釣り雑誌の編集者が問題なの!(笑)

一緒に語ろう!

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