一緒に語ろう! ~あるテーマを語り尽くす座談会~

第13回 ブラックバスについて ~釣り人として問題を考える~

  • 司会:友人・小野寺
  • 論客:佐藤 オキアミ、オダ マルソウダ
  • 収録:2013年5月某日 神奈川県川崎市・つぼ八川崎店にて

ブラックバス

釣り人からは愛されているブラックバスであるが、行政からは特定外来生物に指定され駆除の対象となっている。 ブラックバスは旺盛な食欲なうえ繁殖力も強く、放っておけば在来種を絶滅においやる危険性を持っている。 一方、釣り業界にとっては莫大な富を生む魚として欠かせない存在であり、ブラックバスの駆除によってバス釣りフィールドの減少は避けたいというのが本音だろうか。 過去に無分別にブラックバスを放流したツケが発生しているのである。

――今日のテーマはブラックバスです。まずブラックバスとは、ラージマウスバス、スモールマウスバス、フロリダバスなどの総称です。
佐藤 ブラックバスとはまたなんとも話しやすいような話しにくいようなテーマだね。ちょっとテーマが大きすぎるんじゃない?
オダ ブラックバスについてか、バス釣りについてか語るので違うよね。
――まあ、どっちもです。お二人が語れる範囲で語ってくれればOKです。
佐藤 オレはブラックバスが不憫でならないよ。ブラックバスの食害なんて、バカな人間が無分別に放流しまくった結果じゃない!? それをまるで『ダーウィンの悪夢ダーウィンの悪夢』みたいに言われているからね。
オダ なに? 『ダーウィンの悪夢ダーウィンの悪夢』って?
佐藤 知らないの? 簡単に説明すると、アフリカにヴィクトリア湖っていうのがあってさ、その湖は固有種の魚がたくさんいるんだけど、ナイルパーチというアカメによく似た魚を放流しちゃったもんだから、湖の固有種が次々と絶滅しちゃった、ということを背景にしたドキュメント映画のことです。
オダ おお、まさに日本のブラックバス問題そのものじゃない。
佐藤 いや、でもナイルパーチは身が上質でさ、日本も含めて多くの国が輸入しているのね。だから漁業として経済的に役に立っているという面では、日本のブラックバスよりもナイルパーチのほうが断然上なのよ。固有種こそ絶滅してしまうけど、ナイルパーチによってもたらされた富っていうのも莫大なのさ。そう考えるとブラックバス問題はダーウィンの悪夢ダーウィンの悪夢以上の悪夢かもしれないね。
オダ ふーん、でもさ、ブラックバスやブルーギルは美味しいから、琵琶湖なんかだと釣ったら食べましょうってことを推奨しているんじゃなかったっけ?
――そうですね。生きたまま持ち帰ると犯罪になってしまうので、殺してから持ち帰るようにとなっていますね。
佐藤 とは言うけど、釣り人に持ち帰れって言ってもなかなか難しいよ。バス釣りはリリースするのが当然だしさ、バサーとしてブラックバスを食べるのは抵抗があるでしょ。
オダ 美味しいことがわかっているんだから、漁師が獲って売ればいいんじゃないのかな?
佐藤 でもスーパーにブリとブラックバスが置いてあったらどっちを買うよ? 1切れあたりがよっぽど安いなら買うかもしれないけど、漁師さんが卸すとなると値段はそれなりになるし。フライやムニエルにするとかなりうまいって聞くから、加工品にすればある程度値段が高くてもいけるとは思うんだけどもね。
オダ じゃあ現状ではダーウィンの悪夢ダーウィンの悪夢にすらならないってことね。
佐藤 コイやフナすらあまり食べなくなった時代だからね。ブラックバスが寿司ダネにでもなれば広まるかもしれないけど、生食は危ないらしいから厳しいよ。いまのところ食べる方面では経済的には無価値に等しいんじゃないかしら。
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――人気釣りターゲットなので、観光資源としてはなかなか優秀ですよね。貸しボート屋などはもちろん、漁協は遊漁料を徴収できるわけですし、ブラックバスがもたらす経済というのも当然あるわけです。
オダ それは少なからずあるよ。だって釣り具だってもの凄い種類があるわけじゃない!? オレからしたらそんなに大差ないだろって思うけど、毎年、新作ルアーが鬼のように発売されるわけだし。
佐藤 バサーたちのルアー愛は海釣り専門の人間にはわからない世界だと思うよ。ルアーで魚を釣るというプロセスにバス釣りのすべてが集約されているわけなんだから。
オダ それとさ、バス釣りが釣り業界全体に与えた影響って大きいよね。スポーツフィッシングっていうの? ブラックバスの生態を研究してさ、シーズンごとのパターンにはめていくって釣り方ね。
佐藤 それはでかい。釣りにゲームという意識が完全に根付いたね。海のルアーゲームはすべて影響されているし、あとはひとつテンヤもそうだろうね。フィネスって感覚?
オダ いいね横文字(笑)。釣りにゲームって感覚を取り入れると、格段に面白くなるからね。それとさ、釣り具の発展という観点からもバス釣りの影響力はでかいよね。
佐藤 そうだよねえ、2大メーカーだけが幅を利かせているわけじゃなくて、大小さまざまなメーカーが開発に勤しんでいるからね、そりゃあ発展しますわな。
――だからバス釣り自体は素晴らしいものなのに、こういう状況になってしまったのが残念でしょうがないですよね。
オダ ブラックバスやブルーギルの問題は釣り人だけのせいじゃないけど、釣り業界から先に問題解決に乗り出したほうがいいよね。ブラックバスを釣ってもいい場所と駆除する場所を明確にして、駆除にはお金を出すのは当然。
佐藤 バス釣りアイテムを購入すると駆除費として何%かの税金が掛かるとかね。しょうがないよ、自分たちが広げてしまった問題でもあるんだからさ。これからもバス釣りを続けたいんだったら、釣り人だってリスクを背負わないとね。

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