釣りとはまったく関係ないけど、管理人が選ぶ伝説の名勝負

第18戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsガブリエル・ゴンザーガ

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ミルコ・クロコップ

クロアチア出身の格闘家で、日本のキックボクシング団体・K-1、日本の総合格闘技団体・PRIDE、アメリカの総合格闘技団体・UFCで主に活躍した。2006年にはPRIDE無差別級グランプリをぶっちぎりの強さで優勝を飾る。
どんなルールであっても、左ハイキックをはじめとした強烈無比な打撃によってKO勝ちを量産。しかし、肝心な試合では負けることも多く、その度に不屈の闘志で立ち上がっていく姿に、世界中の格闘技ファンから愛された。
ミルコ・クロコップの伝説の名勝負は、ミルコのその後の格闘技人生に多大な影響を与えた衝撃的な敗戦3つをあえて紹介。3つが3つとも、格闘技史に残る衝撃的な結末なため、今なお格闘技ファンの語り草となっている。

0-1R “皇帝”ヒョードルに敗北、PRIDEグランプリ出場も屈辱マッチメイク

ケビン・ランデルマンに失神KO負けという屈辱を味わわされたミルコ・クロコップであったが、その後は連戦連勝の快進撃で、ついに目標であった“皇帝”エメリヤーエンコ・ヒョードルのタイトルに、最強のチャレンジャーとして挑戦することが決定する。ヒョードルを目標に掲げPRIDEに参戦してから、チャンピオンシップに辿り着くまで実に2年以上の月日が流れていた。

いよいよ皇帝ヒョードルと不屈のターミネーター・ミルコの頂上決戦。ラウンド序盤から二人はヘビー級とは思えない人間離れしたスピードの攻防を繰り広げ、ミルコは左の蹴りを叩き込み、ヒョードルは左右のフックを振り回す。事前の予想ではヒョードルがグラップリングを中心に試合を組み立てるのではと思われていたが、予想を裏切り、打撃が持ち味のミルコに対して積極的に打ち合っていく。しかも、時間が経過するほどにヒョードルがミルコに打ち勝っていくという信じられない展開だ。しかし、ミルコも決定打を与えず、最終ラウンドまで諦めずに必死に闘い抜く。勝負の行方はジャッジに委ねられることとなったが、勝者は誰の目にも明らかだった。3-0、勝者のコールを受けたのは皇帝ヒョードルだった。両者の顔は赤く腫れ上がっており、いかに激しい攻防であったか物語っているようであった。

皇帝ヒョードルに敗れたミルコはパフォーマンスが著しく悪化し、アメリカの強豪・ジョシュ・バーネットにこそ判定で勝利したもののいい内容ではなく、K-1時代からのライバルであるマーク・ハントにはサモアンフックで圧倒されて判定負けを喫する。ミルコはもう限界かとささやかれ始めるようになり、PRIDE無差別級グランプリに参戦が決定したものの、一回戦の相手は日本の美濃輪育久。美濃輪は階級下というだけではなく、ミルコの実績とは比べようも無い格下であり、ミルコにとっては屈辱的なマッチメイクであった。

その美濃輪との試合。実力差は明らかであり、ミルコはまったく問題にせず1分程度で美濃輪を一蹴。次戦は同じく日本の吉田秀彦。吉田はオリンピック柔道の金メダリストであり、ミルコが敗れたマーク・ハントに勝利しているうえ、PRIDEミドル級絶対王者のヴァンダレイ・シウバとも激闘を繰り広げた実力者だ。実績ではミルコが上回っているとはいえ、ここ数戦のコンディションを考えると、専門家筋の間でも吉田勝利の声は少なくない。吉田は五輪メダリストだけあって勝負根性があり、柔道特有の道着を使った技を駆使してくるだけに一筋縄ではいかない相手だ。

PRIDE無差別級グランプリ準々決勝のゴング。ミルコの動きはあまりよくなく、吉田は見てくれはよくないながらも思い切りのいい打撃で攻勢に出る。ミルコは時折強烈な左ストレートを伸ばすも、闘志溢れる吉田がパンチを振り回して前に出て、道着を活かした強引な首投げなどでミルコにプレッシャーを与える。しかし、吉田が左へと回る動きに合わせて、ミルコが強烈な右ローキック。あまりの威力にさすがの吉田も顔が歪む。この右ローキックが何度も効果的に決まり、ついには吉田の動きが止まる。ミルコはさらに右ローキックを吉田の左足に集め、吉田はダウン。立つことができず、セコンドからタオルが投入され、ミルコは見事TKO勝利を飾った。

0-2R シウバ、バーネットを破りPRIDEグランプリ優勝。そしてUFCへ

PRIDE無差別級グランプリ準決勝、相手はPRIDEミドル級絶対王者のヴァンダレイ・シウバだ。シウバはヘビー級リミットよりも10kg軽いミドル級を主戦場としながらも、恵まれた肉体を持っていて、減量をしなければミルコと体重ハンディはほとんどない。“アックス”とも言われる回転の早い左右のフックが最大の武器であり、ムエタイ出身だけあってキックも非常に優れたものがある。特に首相撲からの膝蹴りは危険で、過去に幾多の強豪を膝蹴りで沈めている。ミルコが過去に敗れたヒョードルやアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラと比べても、勝るとも劣らない強敵中の強敵だ。

試合が始まると、シウバはいきなり“アックス”と恐れられる左右のフックを振るって前に出る。しかし、この日のミルコは前回の吉田戦とは比べようもないほどに動きが良く、シウバの打撃を見切り有効打を当てていく。シウバのタックルを簡単に押し潰し、上から強烈なパウンドを顔面に落としていく。シウバの顔面は一気に腫れ上がり、特に右目のダメージが深いようで、ドクターチェックが入る。

2分ほどして試合再開。ミルコが上、シウバが下の元の体勢からリスタートだ。相変わらずミルコのパウンドが唸りを上げるも、シウバは身体を密着させてなんとか被弾数を減らす。しばらくこの攻防が続いたが、レフェリーは膠着状態と判断し、スタンドアップを命ずる。

スタンドとなると、シウバは待ってましたと言わんばかりに積極的に打撃で前に出る。ミルコがカウンターで強烈な左ミドルキックをぶち込んでも、気にせずアックスを振るう。この日絶好調のミルコもさすがに数発被弾してしまうが、お返しに再度強烈な左ミドルキック。このミドルキックが効いたか、シウバの動きが鈍くなった瞬間、左ハイキック一閃! シウバの側頭部に直撃し、当たった瞬間にシウバは失神。後ろにバッタリと倒れるやいなや、慌ててレフェリーが試合を止める。ミルコの完勝だった。

決勝の相手は、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラと世界最高峰の寝技戦を制したジョシュ・バーネット。バーネットとはこれで3回目の対戦だ。過去2戦はすべてミルコが勝利しているものの、一度は不運なアクシデント、二度目はお互いコンディション不良な状態での勝負であったため、相性良しの相手とは言い切れない。しかもお互いヘビー級の選手とはいえ、バーネットのほうが15kgも体重が重いのだ。

いよいよ、PRIDEグランプリのファイナル。張り詰める緊張感のなか、甲高い音を立ててゴングが打ち鳴らされる。バーネットは積極的にパンチを振るい、ミルコに組み付こうとする。ミルコに距離を与えないことで、強烈な打撃を封じ、チャンスを見てテイクダウンを奪い寝技で勝負する作戦だ。一方のミルコは、バーネットの魂胆を冷静に見抜き、隙を見て強烈な左ミドルキックをぶち込む。バーネットはそれでも前進を止めないが、効いているのは明らか。バーネットの前進が止まると、ミルコはもう一発強烈な左ミドルキックをお見舞いする。バーネットはその足を掴みテイクダウンを試みるが、ミルコのバランスを崩すことができない。ミルコはバーネットのクラッチを切ると、強烈な左右のパンチを当てていく。バーネットは膝蹴りで反撃するも、ミルコに逆にテイクダウンを取られ、上からパウンドを貰ってしまう。

ミルコが眉尻をカットしたため、ドクターチェック。すぐに試合再開となり、ミルコが上、バーネットが下の状態からリスタートだ。ミルコがパウンドを打つ展開が続くも、レフェリーは膠着状態と判断しスタンドアップを命ずる。この日のミルコは得意の左のキックだけではなく、パンチが冴えに冴え、面白いようにバーネットの顔面にめり込ませる。バーネットはそれでも組み付こうとするが、ミルコは逆にクリンチの体勢から強烈なパンチをボディーに決め、バーネットはたまらずダウン。ミルコは上から鬼気迫る非常でパウンドの雨を降らす。

バーネットは下からなんとか反撃しようとするも、不運にもその動きがあだとなりミルコの指がバーネットの右目に直撃。バーネットはあまりの激痛でマットを叩きギブアップ。最後はまたしてもアクシデント決着とはなったものの、このまま試合が続けばどちらが勝者であったかは誰の目にも明らかだった。ミルコは衝撃的な敗戦を重ねたものの、見事目標だったPRIDEグランプリ王者に輝いたのだった。

PRIDEグランプリ王者となり輝きを取り戻したミルコ・クロコップは、PRIDEとの契約満了をもってアメリカのMMA団体・UFCへの移籍が決定する。PRIDEで目標を達成したミルコは、次なる頂を目指してアメリカに乗り込むことを決意したのだった。

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1R ミルコ、運命の一戦。誰も予想できない衝撃的な結末が待っていた

UFCの初戦。エディ・サンチェスという選手と対戦し、さすがにPRIDEチャンピオンの実力は凄まじく、まったく相手を寄せ付けずに完勝をおさめる。ミルコのPRIDEから続く快進撃を高く評価したUFC主催者は、次戦に勝利すればUFCヘビー級王者であるランディ・クートゥアとのタイトルマッチを確約。その前哨戦として、UFC3連勝で波に乗るブラジルの新鋭ガブリエル・ゴンザーガとの対戦が組まれたのだった。

ゴンザーガはブラジリアン柔術黒帯を保有する寝技師でありながら、打撃も得意とし、過去にはスーパーマンパンチ一発で相手をKOしたこともある侮れない相手だ。しかも、ヴァンダレイ・シウバが看板選手のシュートボクセ・アカデミーに移籍し、寝技スキル以外にも打撃技術にも磨きをかけているという。とはいえ、ミルコの寝技コーチであるファブリシオ・ヴェウドゥムに過去に打撃で敗れている選手であり、PRIDEチャンピオンのミルコにとっては格下の調整試合の相手でしかなかった。

いよいよタイトルマッチの前哨戦。ミルコはアメリカのファンにも人気があり、音楽に乗って入場しケージに入ると大歓声だ。UFC2戦目、ケージでの試合にも慣れてきたのか、表情は非常に落ち着いており、全身から自信が溢れているようだ。一方のゴンザーガも落ち着いており、よいトレーニングができたことをうかがわせる。お互いリングアナウンサーからコールを受け、待ちに待った試合開始だ。場内は“ミルコ”コールに溢れていた。

試合が始まると早速、ゴンザーガが右ストレートを伸ばす。ミルコはわけもなくかわすものの、ゴンザーガは構わず右をドンドン伸ばしてプレッシャーをかけてくる。ゴンザーガはただ右を振るうだけではなく、左手でミルコのガードをはじいてから右を出しているため、ミルコは反撃の手を出しにくいのか、バックステップとサークリングでゴンザーガから距離をとることしかできない。有効打は一撃も受けていないものの、間合いをゴンザーガに支配されてしまった。

するとゴンザーガは右のミドルキック、直撃はしなかったがミルコをかすめる。一瞬ムッとした表情を浮かべたミルコは、お返しにと左ミドルキックを放つが、ゴンザーガはそれを待っていたのか、見事なカウンタータックルでミルコをテイクダウンする。ここまでで1分30秒経過。

テイクダウンされてもミルコは冷静だ。パウンドを防御する寝技スキルは備わっており、ゴンザーガの腕や頭を巧みに抱え込み有効打を与えない。しかし、ゴンザーガはミルコのディフェンスを意に介さず、エルボーをミルコの顔面にゴツゴツと叩き込んでいく。ミルコは必死に抵抗を見せるも、パウンドはともかくエルボーのディフェンスがまったくできておらず、おもしろいようにゴンザーガに決められてしまう。ミルコは顔の一部を切ったか、顔が自身の血で紅潮していく。しかしそれでもゴンザーガはエルボーを止めず、ガツンガツンという鈍い音を立ててミルコの顔面に肘の雨を降らしたのだった。1R、残り時間35秒、レフェリーは膠着と判断して、二人にスタンドアップを命ずる。

残り30秒、ミルコはなんとかこのラウンドを凌ぎたいが、エルボーによるダメージで冷静な判断力を失っているのか、ゴンザーガとまともに対峙してしまう。お互いが左にサークリングを始めるが、序盤同様、ゴンザーガは右ストレートを強振してくる。この攻撃はバックステップでかわしたミルコであったが、左にサークリングしようとしたその時、ゴンザーガの右ハイキック一閃! それは、ミルコが過去に決めてきたどんなハイキックにも引けを取らない素晴らしいキックであり、首筋から側頭部にかけて直撃されたミルコは即失神。しかも失神して後ろへ倒れる際、右足があらぬ方向にグニャリと曲がってしまった。ミルコが過去に喫したどんな敗北よりも、衝撃的な失神KO負けだった。

ミルコはこの衝撃的な敗戦により、事実上ファイター生命が断たれたといってもよく、その後の試合は明らかな格下相手には勝利できたものの、自身と同等レベルの選手との試合はすべて落とした。しかも負けのすべてがKO負けであり、ゴンザーガの攻撃が、いかにミルコの脳神経に深刻なダメージを与えたのか推して知ることができる。そしてグニャリと曲がった右足もただでは済まず、ヘビー級とは思えないほどの凄まじいスピードもこの試合を境に失われてしまった。

しかし、1996年、日本でプロ格闘家の産声を上げたクロアチアの青年が、10年後の2006年、当初志したキックボクシングではなく、新しい格闘技であるMMAのチャピオンにまで上り詰めた功績は偉大であり、ヘビー級としては小柄な体躯で、PRIDE以上に大型選手の溢れるUFCにチャレンジした精神は尊敬に値する。ミルコにとってファイター生命を断たれたものの、挑戦を止めない彼の生き様をよく表しているゴンザーガ戦こそ、伝説の名勝負と呼ぶにふさわしい。ミルコ・クロコップの伝説の名勝負はこれにて完。

過去の伝説の名勝負

第26戦 皇帝・エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsアンドレイ・アルロフスキー

第25戦 エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsミルコ・クロコップ

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第23戦 エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsアローナ、ババル

第22戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsゼルグ・弁慶・ガレシック

第21戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsヘンゾ・グレイシー

第20戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsカーロス・ニュートン

第19戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsマーカス・コナン・シウヴェイラ

第18戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsガブリエル・ゴンザーガ

第17戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsケビン・ランデルマン

第16戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ

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