釣りとはまったく関係ないけど、管理人が選ぶ伝説の名勝負

第23戦 皇帝・エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦
vsヒカルド・アローナ(ブラジル)、vsレナート・ババル(ブラジル)

エメリヤーエンコ・ヒョードルMMAグローブはマーシャルワールド

エメリヤーエンコ・ヒョードル

ウクライナ出身のロシア人格闘家、1976年生まれ。柔道でヨーロッパトップクラスの実力を有した実績を引っさげ、ヴォルク・ハン主催の道場に入門。2000年にプロ格闘家デビューを果たすと、一気に潜在能力が開花。元・柔道家とは思えない強烈過ぎる打撃を武器に、強豪をことごとく撃破し、プロデビューから数年後には“世界最強”の格闘家として世界中から認識されるようになる。
2000年に一度、アクシデントによる負けを喫してから、2010年にファブリシオ・ヴェウドゥムに敗れるまで、10年間無敗を続ける快挙を成し遂げるも、その後、連敗したこともあり2012年にプロ格闘家を引退。引退後はロシアスポーツ省に入省し、ロシア格闘技連盟の代表に就任する。

0R 日本デビュー戦はKO勝利。次戦のアブダビ王者との死闘も制す

2000年9月5日、人気格闘技団体・リングスの小さな大会で、当時、まったく無名であったロシア人格闘家・エメリヤーエンコ・ヒョードルがプロ格闘家デビュー戦を行った(厳密には日本における)。相手は日本の高田浩也。高田はレスリングの強豪であったが、ヒョードルはたった12秒で、強烈なパンチをぶち込みKOしてしまった。

しかし、高田浩也もデビュー戦であったため、当時この試合結果に注目する人間はほとんどおらず、おそらく、対戦した高田浩也以外は、ヒョードルが飛び抜けた格闘家であることを知る人間はまだ日本にはいなかった、そう言ってもいいだろう。ヒョードルが格闘技界に一気に名前が知れ渡ることになるのは、3ヵ月半後に行われたヒカルド・アローナ戦での勝利がきっかけとなる。

ヒカルド・アローナはブラジリアン柔術の強豪であり、2000年3月に行われた寝技世界最強決定戦であるアブダビコンバット99kg未満級を制し、事実上、100kg以下級では世界一寝技が強い男なのだ。リングスにはこの試合の前に二度参戦しており、ヒョードルの先輩であるアンドレイ・コピィロフ、アメリカのMMAファイターのジェレミー・ホーンを、得意の寝技で圧倒して判定勝利している。ヒョードルにとっては初の世界的ファイターとの試合となる。

2000年12月22日、エメリヤーエンコ・ヒョードルvsヒカルド・アローナの試合。ルールは寝技での顔面への攻撃が禁止されるリングス独自のもの。試合は、まずはアローナが寝技のポジショニングで優位に立つ。マウントポジションやバックマウントを次々に奪うも、時折ヒョードルは、下から怪力を活かしてギロチンチョークを仕掛けにいく。しかし、寝技スキルに優れるアローナはヒョードルの仕掛けを回避し、ヒジをヒョードルの頸部や顎に押し当てプレッシャーをかけ、チョークやアームロックを狙うが、ヒョードルも寝技には自信があるのか、冷静にアローナの仕掛けをかわし、極めを許さない。

寝技に関してはアローナが上手であるが、こと立ち技になるとヒョードルが上回る。アローナもパワフルな打撃を持っているものの、精度ではヒョードルが上であり、1Rには決まったダブルレッグダイブも、2Rになると切られるようになる。1Rは寝技で完全に圧倒したアローナであったが、2Rはヒョードルがいい打撃を当て、ダメージの評価点で若干上回ったか。1~2Rを総評価は、どちらかといえばアローナのほうが優勢に見えたが、ジャッジの判定はドローとなり、延長Rとなる。

延長Rになると、さすがのアローナもスタミナが切れ始め、何度かヒョードルをテイクダウンしたもののポジショニングで圧倒できず、膠着ブレイクを命じられてしまう。立ち技になるとヒョードルが打撃でプレッシャーをかけ、アローナはスタミナを切らしながらもひたすらにダブルレッグでテイクダウンを狙う。お互い決定打のないまま試合終了。1Rから延長Rまでの全体で評価すればアローナ、延長Rだけを見ればヒョードルであるが、ジャッジは延長Rの攻勢を評価し、3-0でヒョードルに凱歌が上がった。アローナは、寝技でのポジショニングをあまり評価しないリングスならではの採点に泣かされた形だ。

アローナに勝利後、続けて日本の高阪剛との勝負(トーナメントであったため)。結果はあっけなく、ヒョードルと高坂の打撃が交錯した瞬間、ヒョードルは顔面に裂傷を負ってしまう。高坂のヒジがかすったことによる完全なアクシデントではあったが、高坂の有効打によるダメージと判断されたため、今度はヒョードルが不運なTKO負けとなる。

とはいえ、世界的強豪であるヒカルド・アローナを互角の攻防の末、判定で破った功績が大いに評価され、ヒョードルはリングス世界ヘビー級王者を決めるトーナメントへの出場が決まった。

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1R リングスの実績はアローナ以上のババルに、全局面打撃で圧勝!

リングス世界ヘビー級王者を決めるトーナメントの一回戦。相手はアメリカの格闘家のケリー・ショールだ。ヒョードルとショールの実力差は歴然であり、巨体相手とのリスキーな打撃戦は避け、寝技に持ち込むとわずか1分47秒で腕十字を極めて勝利してしまった。次戦の相手は、ブラジルの総合格闘家レナート・ババルとの一戦が決まった。

ブラジルといえば柔術だが、レナート・ババルはルタ・リーブリを基礎とする格闘家で、強烈な打撃とレスリング力を活かして相手を圧倒するスタイルが持ち味だ。寝技もうまく、過去にはレスリングの古豪グロム・ザザをアームロックに極め勝利し、ヒョードルの兄弟子であるイリューヒン・ミーシャにも腕十字で勝利をおさめている。リングスにおける実績ではヒカルド・アローナを上回っており、実力者として日本やブラジルはもとより、世界に名前が知られている選手で、ババルは世界中のどんな格闘家も簡単に勝てる相手ではないのだ。

しかし、ヒョードルとババルの試合は一方的な展開となった。

1R。ヒョードルが打撃で一気にプレッシャーをかけ、コーナーにババルを詰め、お互いヒザを入れ合う。しかし、ヒョードルが凄まじいスピードで身体を離し、左右のフックをこれまた凄まじいスピードで振り回す。ババルは直撃を免れるも、ヒョードルはすかさず左のミドルキック。一瞬、息の詰まったババルに、ヒョードルが左右のフックを振り回し、その数発を浅いながらもババルの頭部にぶち込んだ。

勇敢なババルはそれでも気圧されることなくヒョードルと対峙するも、ヒョードルはババルの蹴り足を捕みテイクダウン。それからは、まさにヒョードルの独壇場で、寝技状態の相手に対し顔面へのパウンドが禁止されているため、足やボディーに強烈なパウンドの雨あられ。ババルは有効な対抗手段を見出だせず、一方的に殴られるだけ殴られて、膠着ブレイクによってスタンディングとなる。打撃の攻防から四つ組となり、ヒョードルがテイクダウンを奪ったところで1R終了。

2R。展開を打開したいババルは、バックハンドブローの奇襲に出るも、タイミングはよかったがヒョードルにダッキングでかわされ、テイクダウンされてしまう。寝技になると1R同様、ヒョードルはババルになにもさせずパウンドで圧倒。さらにはポジショニングでも優位にすすめ、ヒョードルはバックマウントを取りチョークを極めにかかる。ババルはチョークをしのぎ上のポジションを取り返すがなにもできず、自ら立ち上がりストライキング勝負を要求する。しかし、ババルの右アッパーを、ヒョードルはダブルレッグからの朽木倒しの連続技でテイクダウンし、パウンドの雨を降らして試合終了。判定結果は文句なしにヒョードル、3-0のフルマークの完封勝利だ。仮に顔面パウンドがあったとしたら、ババルのKO負けは免れなかっただろう。

「ヒョードル、ババル撃破」の報はブラジル格闘界に知れ渡り、ババルと練習をしたことがあり、強さを知るアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラは「信じられない」といったコメントを残したのだった。この一戦により、ヒョードルは一気に世界的実力者と認識されるようになる。

2R まさに無敵! リングス世界ヘビー級および無差別級の二冠を達成!

レナート・ババルに勝利してからのヒョードルはまさに無敵状態で、トーナメント決勝戦は相手のボビー・ホフマンが「無名のロシア人に負けたくない」と理由で試合を放棄して不戦勝、余裕でリングス世界ヘビー級チャンピオンに輝いた。

次の闘いは、ロープエスケープとダウンが認められたロストポイント制の試合で決めるリングス世界無差別級チャンピオントーナメント。一回戦で日本の柳澤龍志に余裕の判定勝ち、準決勝はイギリスのリー・ハスデルをギロチンチョークで一蹴。最後の決勝戦の相手は、リングス・オーストラリア代表のクリストファー・ヘイズマン。ヘイズマンはカーロス・バヘットやアレッシャンドリ・カカレコといった実力者に勝利したこともある侮れない相手であったが、ヒョードルはまったく問題にせず、3分かからずパンチでノックアウトして、余裕しゃくしゃくでリングス無差別級王者となった。

見事リングス二冠王となったヒョードルであったが、リングスは客の不入りから活動休止となってしまい、、リングスと契約していた選手たちはフリーに。しかし、すでに実力が知れ渡っていたヒョードルは、当時世界一の規模を誇ったMMA団体PRIDEと契約を結ぶ。ヒョードルはPRIDEでもその実力をいかんなく発揮するのであるが、それは先の話。ともかく、ブラジルの強豪レナート・ババルに圧勝し、世界的に実力が認められたこの一戦こそ、伝説の名勝負と呼ぶにふさわしい。

過去の伝説の名勝負

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