釣りとはまったく関係ないけど、管理人が選ぶ伝説の名勝負

第20戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsカーロス・ニュートン

桜庭和志信頼の格闘技用品はマーシャルワールド MMAグローブetc

桜庭和志

秋田県出身の格闘家で、中央大学レスリング部で主将を務めた後、高田延彦が率いるUWFインターナショナル(以下、Uインター)に入門。入団当初から実力は高い評価を受け、プロレスだけではなく様々な格闘技戦も積極的に行う。同い年の先輩・田村潔司のUインター退団前には、運営側からの指令でセメントマッチの相手を務めることになった(桜庭の2連敗)。
MMAに本格的に参戦してからは、ベースのサブミッションレスリングを活かして世界の強豪と堂々と渡り合い、辛酸をなめ続けていた日本格闘技界のエースとなる。桜庭和志が見せつけたテクニックは様々な格闘家に影響を与え、いまなおその実績は色あせずに輝きを放っている。

0-1R キングダムから高田道場へ。プロレスラーとしてラストマッチを勝利

UFC JAPANで劇的な勝利を上げた桜庭和志であったが、キングダムは経営を立て直すことができず、安生洋二を残して解散することが決定する。桜庭和志は高田延彦が立ち上げた高田道場の所属となり、プロレスラーではなく本格的なMMAファイターとして活動することになる。

その前に、桜庭はUFC JAPANでマーカス・コナン・シウヴェイラに勝利後の初試合を、高田道場所属として消え行くキングダムで最後の試合を行うことが決定する。相手はアメリカのラリー・パーカーというグラップリングベースの選手だ。ラリー・パーカーは前試合で、青い目のU戦士と言われるビリー・スコットに一瞬の足首固めで敗れてはいるものの、ラッシングパワーに優れ、何をしてくるかわからない謎の多い選手だ。

桜庭和志のキングダム最終試合。試合が始まると桜庭は左のミドルキックで先制するものの、パーカーは勢いよく桜庭に組付き、強引にテイクダウンを取る。パーカーは非常にパワーがあり、がぶりからのクォーターネルソンで桜庭の首にプレッシャーをかけ、そしてしつこくフロントネックロックを狙っていく。さすがの桜庭もパーカーのパワーに手を焼き、なかなか対抗することができない。

もつれた展開から桜庭が上を取ると、パーカーはディフェンスに難があるようで、しがみつくか亀になる以外なにもできない。しかし、パーカーの亀はなかなか堅く、展開を生むために桜庭は立ち上がる。数発の打撃の応酬のあと、再び寝技へ。桜庭はパーカーの腕を取るも、パーカーはパワーで潰し桜庭からサイドポジションを奪取。桜庭は回転して逃れようとするも、パーカーはフェイスロックでプレッシャーをかけつつバックを奪う。

しかし桜庭は、得意の相手にバックを取らせた上でのアームロックを完璧に極め、レフェリーストップ勝ち。プロレスラーとしてけじめの一戦を勝利で飾り、これをもって本格的にMMAに挑戦することとなる。

0-2R いよいよPRIDEに本格参戦。初戦の相手は元パンクラシスト

高田道場所属となった桜庭は、プロレスとひと区切りをつけ、高田延彦vsヒクソン・グレイシーが戦う場として産声を上げたMMA団体であるPRIDEに参戦することが決まった。PRIDE初戦の相手は、パンクラスでデビューし、20戦以上の格闘技戦を行っているヴァーノン・タイガー・ホワイト。ホワイトはバス・ルッテン、フランク・シャムロック、ペドロ・ヒーゾ、マリオ・スペーヒー、ウラジミール・マティシェンコといった世界的強豪との対戦経験が豊富で、決して侮ることはできない相手だ。

1998年3月15日、PRIDE.2の舞台。桜庭和志とヴァーノン・タイガー・ホワイトがリングで対峙する。体格はほぼ互角で、桜庭にとってはMMAで初めての同体格の相手。ゴングが鳴ると桜庭は左の蹴りで牽制するが、ホワイトのスピードある左ストレートを早速被弾。しかし、被弾しながらも片足タックルで寝技に持ち込む。寝技になると桜庭有利の展開が続くが、いまいち決め手に欠き、ホワイトに逃げられる。まだ桜庭はMMAに慣れていないか、せっかく良いポジションをとってもパウンドを撃たずに、執拗に関節技にのみこだわってしまう。桜庭よりも、ホワイトのほうが動きが良い。

2R、桜庭はすでにスタミナが切れたか、肩で息をする。打撃はホワイトのほうがよく、桜庭はジャブを被弾。しかし、タックルでこかし寝技に持ち込む。2Rになっても寝技の展開は同じで、せっかくマウントポジションをとっているのに、パウンドを落とさないがために、ホワイトに逃げられる。桜庭は完全にスタミナを切らし、肝心なところで動きが悪く、挙句にはホワイトにリバースフルネルソンにクラッチされてしまう。なんとか極められずに済んだものの、桜庭が極めさせなかったというよりも、ホワイトが極め方を知らなかったという感じだ。さらに2R終了間近には、チョークを極められかけてしまう。

3R、桜庭はホワイトの打撃で右目を腫らしている。スタミナはもう限界に近いか。桜庭は左ミドルキックで牽制するも、腕がダランと垂れ下がり、見るからに苦しそうだ。打撃戦を避けたい桜庭はタックルでテイクダウンし寝技に持ち込むも、やはり決め手に欠け、ホワイトに上を取り返されてしまう。一進一退の攻防が続くなか、ようやく桜庭はホワイトの左腕をダブルリストにクラッチし、アームロックから腕十字の連続技でホワイトを下したのだった。

ホワイトが強かったか、それとも桜庭の練習不足か、どちらにしろ内容は非常に悪く、なんとか勝ちを拾ったという格好だ。しかし、これで桜庭はMMA2連勝。次戦は、寝技師として知られるカーロス・ニュートンとの試合が決定する。ニュートンの実力は本物であり、桜庭の真価が問われる重要な一戦だ。

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1R お互いがアグレッシブに攻め合い、日本格闘史に残る寝技合戦に!

カーロス・ニュートンは柔術や柔道をベースにした格闘家で、エリック・パーソンや草柳和宏といったベテラン格闘家をあっさりと腕十字で破っているうえ、UFCにおいては判定負けを喫したものの、超実力者のダン・ヘンダーソンとスプリット判定にもつれ込むほどの激闘を繰り広げている。体格は桜庭のほうが5kgほど大きいが、MMAの実績ではニュートンが桜庭を上回る。

PRIDE.3の第三試合、桜庭vsニュートンのゴング。試合が始まると桜庭は得意の左の蹴り、ニュートンはバックステップでかわし、一気に距離を詰め四つに組む。しかし組み合いを制したのは桜庭で、豪快な内股でテイクダウンする。テイクダウンされたもののニュートンは下からの寝技も慣れたもので、バタフライガードから展開を作ろうと積極的に仕掛ける。この日の桜庭は絶好調で、パスガードをする動きでニュートンのサイドを取るやいなや腕十字。足のフックが甘く逃げられてしまったが、かなり際どい角度でニュートンの腕を絞り上げたのだった。

ニュートンはなんとか腕十字を脱出すると、桜庭の足を越えてパスガードに成功しサイドポジションへ。しかし桜庭は、あっさりと体を入れ替えてしまい、上のポジションを取り返す。オープンガードを取るニュートンの足を狙いアンクルホールドに移行するが、ニュートンは回転して阻止。桜庭の上を取り横四方の体勢へ。そして桜庭の動きに合わせてバックを取るも、桜庭はニュートンの片足を取って上のポジションを奪う。桜庭が上、ニュートンが下でパスガードの攻防が続くが、桜庭は再度一気にパスガードして腕十字。2度目とあって、これはニュートンも難なくかわす。ややあって、スタンディングへ。

スタンディングでも桜庭が若干有利で、左の蹴りでニュートンを牽制し、簡単には距離を詰めさせない。そしてニュートンが右ストレートを伸ばしてきたところを片足タックルでテイクダウン。パスガードの攻防となるが、桜庭は左のパウンドを打ってからすかさずアンクルホールドへ。これがかなり危険な角度で曲がるも、ニュートンはなんとか脱出しバックを奪う。

ニュートンはバックからチョークを狙うものの桜庭のガードは堅い。攻めるニュートンであるが、桜庭の背中に乗りすぎてしまったために下へ落とされ、またしても上を奪われてしまう。ガードの攻防が続き、「残り1分」とアナウンスされると、桜庭は強烈なパウンドをニュートンに叩きこむ。そして桜庭はパスガードの動きを見せるが、ニュートンはその動きに合わせて立ち上がる。多少の打撃の応酬があり、桜庭がニュートンをテイクダウンしたところで1R終了。桜庭が取ったラウンドだった。

2R 絶好調の桜庭、ニュートン戦のフィニッシュはUWFを代表するあの技!

2R、開始。若干、桜庭は疲れた表情を浮かべている。ニュートンはその桜庭の表情を見て好機と思ったか、桜庭の左蹴りに合わせてバックを奪う。しかし桜庭は、ニュートンがバックからのテイクダウンにきたところでアームバー。ニュートンの左腕は伸びるものの、肘の支点をずらして脱出。グラウンド状態でバックを奪う。

バックを奪ったニュートンはチョークを狙うが、桜庭はレスリング的な動きでそれを許さない。チョークが極まらないと見たニュートンは桜庭の左右横腹に膝蹴りを一発ずつ。さらにパウンドを数発、桜庭の顔面やボディーに打ち込む。桜庭は亀の状態からニュートンの足を取ってテイクダウンを試みるも、ニュートンに腹固めの体勢を取られ少々危険なポジションに。桜庭はなんとかその体勢を脱出するも、やはり疲れたか、1Rに比べると動きが圧倒的に鈍く、なかなか上を取ることができない。

桜庭は、依然としてニュートンにバックキープを許してしまい、強烈なパウンドと膝蹴りを浴びてしまう。しかし、この動きによってニュートンは桜庭にスペースを与えてしまい、上を取り返されてしまう。上を取ると桜庭は、お返しにとパウンドを一発。そしてパスガードをしながらの腕十字をこの日3回目。この腕十字もかなり危険な角度で極まりかけるも、ニュートンは右腕で顔にかかる足のフックを防ぎなんとか脱出。

桜庭はまたしてもニュートンにバックを取られてしまう。ニュートンはバックポジションからいろいろと仕掛けるが、桜庭はアンクルホールドのフェイント。ニュートンが防ごうと桜庭の背中に乗ろうとしたその瞬間、ビクトル投げの要領で桜庭が前に一回転。ニュートンは桜庭の魂胆が見抜けず、アンクルホールドのディフェンスに終始した結果、ガラ空きとなったもう片方の足を桜庭が膝十字固め一閃! 完璧に極められたニュートンはタップするしかなかった。UWFムーブのひとつである、ビクトル式膝十字固めを鮮やかに極めた桜庭に、観客からは惜しみない拍手と歓声が送られたのだった。

桜庭は、カーロス・ニュートンという本物の寝技師を相手にまざまざとその実力を見せつけ、UFC JAPANでの勝利がフロックでなかったことを改めて証明。そしてこの勝利により堂々と世界の強豪の仲間入りを果たし、PRIDEの主役のひとりとしてファンに認識されることに。それにしても、芸術的なまでに美しい寝技のムーブを見せたこの一戦こそ、伝説の名勝負と呼ぶにふさわしい。

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