釣りとはまったく関係ないけど、管理人が選ぶ伝説の名勝負

第21戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsヘンゾ・グレイシー

桜庭和志信頼の格闘技用品はマーシャルワールド MMAグローブetc

桜庭和志

秋田県出身の格闘家で、中央大学レスリング部で主将を務めた後、高田延彦が率いるUWFインターナショナル(以下、Uインター)に入門。入団当初から実力は高い評価を受け、プロレスだけではなく様々な格闘技戦も積極的に行う。同い年の先輩・田村潔司のUインター退団前には、運営側からの指令でセメントマッチの相手を務めることになった(桜庭の2連敗)。
MMAに本格的に参戦してからは、ベースのサブミッションレスリングを活かして世界の強豪と堂々と渡り合い、辛酸をなめ続けていた日本格闘技界のエースとなる。桜庭和志が見せつけたテクニックは様々な格闘家に影響を与え、いまなおその実績は色あせずに輝きを放っている。

0R 桜庭、最強一族と呼ばれたグレイシーに2連勝。世界最強と評価される

カーロス・ニュートンに勝利してからの桜庭和志はまさに無敵状態で、元UFC王者のビクトー・ベウフォートに終始圧倒して判定勝利、ブラジルの実力者・エベンゼール・フォンテス・ブラガにはパウンド連打からの腕十字で一本勝ちなど、強豪からただ勝利するだけではなく、観客を魅了する非常によい試合内容を連発。ブラガに勝利した頃には、PRIDEのトップファイターとなっていただけではなく、85kg前後の階級では桜庭が世界でNO.1の実力者と目されるまでの評価を受けるようにもなった。

人気、実力を兼ね備えた桜庭には、当然ビッグマッチのオファーが届くようになり、PRIDE.8において、ブラジリアン柔術の開祖とされるエリオ・グレイシーの五男であるホイラー・グレイシーとの対戦が決定する。ホイラー・グレイシーは、当時最強の柔術家と評価されていたヒクソン・グレイシーを兄に持ち、自身も70kg以下であれば当時確実に最強の柔術家であった。MMAはまだ数戦程度の経験であったが、グラップリングルールでの試合数は非常に多く、桜庭と体格差はあるものの、寝技になればホイラーが勝つと見る向きも少なからずあった。

しかし、いざ試合となると、体格差もあってホイラーは桜庭に手も足も出ず、終始打撃で圧倒された挙句、自ら組み付き引き込んだところを桜庭にアームロックを極められてしまう。肩関節の柔らかいホイラーはギブアップをしなかったが、レフェリーはこれ以上は危険と判断し試合をストップ。ホイラー・グレイシー陣営は試合を止められたことを抗議するものの、勝者は誰の目にも明らかであった。

桜庭はホイラー・グレイシーに勝利したことで、無差別級で行われるPRIDEグランプリに参戦することが決定。一回戦でガイ・メッツァーを下すと(1R終了後、メッツァーの試合放棄)、準々決勝でグレイシー一族最強神話を築いたホイス・グレイシーとの試合が決定する。ホイスは、第三者に試合を止められることを拒否し、体制側にレフェリーストップなし、15分無制限ラウンドという完全決着ルールを要求する。桜庭は興行のためにこの要求を呑まされることとなり、PRIDEグランプリはトーナメントにも関わらず、桜庭和志vsホイス・グレイシーだけは特別ルールで行われることとなった。

試合となると桜庭がホイス・グレイシーを圧倒する時間が多く、得意の膝十字固めやアームロックを極めかけただけではなく、ホイスの道着を脱がしにかかったり、モンゴリアンチョップでダメージを与えたりとまさにやりたい放題の展開。そんななかでも、ホイスに最もダメージを与えたのは猪木アリ状態からローキックで、桜庭が執拗に蹴り続けたことでホイスは両足にダメージを蓄積。6R終了時にはまともに歩くことができなくなり、7R開始前にホイスのセコンドがタオルを投入し、桜庭が1時間半にもおよぶ激闘を制したのだった。

この勝利により桜庭の名声は一層高まり、日本中のファンが桜庭をPRIDEのエースとして認めることとなったのだった。そして、桜庭の次戦の相手が、グレイシー一族でもっともMMAが強いとされるヘンゾ・グレイシーに決定する。ヘンゾはその年、寝技世界一決定戦であるアブダビコンバットを制しており、80kg以下では確実に世界で一番の寝技師であった。さらに柔術だけではなく、ストライキングやレスリングにも優れたものを持っており、いままで対戦したグレイシー一族のなかでは、間違いなくもっとも手強い相手といえる。

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1R 桜庭、ヘンゾともに寝技を警戒し、スピーディーな打撃戦を展開

2000年8月27日、PRIDE.10のメインイベント。会場は格闘技イベント初開催となる西武ドームだ。桜庭とヘンゾ・グレイシーが対峙すると、桜庭のほうが少し背が高く体も厚みがある。ヘンゾは79kg、桜庭は86kgだ。両者シェイクハンドを交わし、クリーンファイトを誓い合う。いよいよ試合開始、広い西武ドームに甲高いゴングの音が鳴り響く。

試合が開始すると、まずはヘンゾが挨拶代わりに右のミドルキック。桜庭も打撃で応酬するも、ヘンゾはバックステップでかわす。そして、パンチで飛び込み桜庭の両腕をカンヌキで抱え、コーナーに詰める。一瞬、ヘンゾが体を離しパンチを振るうものの、桜庭は体を沈み込ませダブルレッグ、ヘンゾをテイクダウンする。ヘンゾはテイクダウンされながらも、桜庭の左腕を深く抱え、右腕はスパイダーガードに固め極めを狙う。桜庭はこのままでは危険と察知し立ち上がり、両者スタンドアップ。

この日のヘンゾは右のキックが冴え、桜庭に強烈なローキックを3発お見舞い。桜庭はヘンゾのローキックを嫌い、サウスポースタイルに構えをスイッチ。桜庭は、ヘンゾがパンチで飛び込んできたところをテイクダウンし、猪木アリ状態で得意のローキックを連発するも、ヘンゾも下から膝を狙って巧みに蹴りを入れてくる。そしてヘンゾは、桜庭の隙を見て立ち上がることに成功する。

再度スタンドになると、両者スピーディーな打撃を交わし合い、とてもスリリングな展開に。一進一退の攻防が続くが、桜庭の左右の蹴りが効果的にヘンゾをとらえはじめ、体格差も相まり次第に桜庭ペースとなっていく。しかし、ボクシングテクニックはヘンゾのほうが上で、桜庭の顔面を左右の強烈なフックがかすめていく。なおも打撃戦が続き、ヘンゾはパンチで飛び込み四つに組んだものの、桜庭からテイクダウンは取れず、膠着となりレフェリーがブレイクを命ずる。

ブレイクとなり再び打撃戦。ヘンゾの強烈な右インローキックが、桜庭の右膝に決まる。さらに右ハイキックを繰り出すも、これは桜庭が落ち着いてバックステップでかわす。お互い軽い打撃の応酬があり、桜庭がダブルチョップのフェイントからの右ローキックという、らしさ全開の攻撃を決め、さらに追撃の右ローキックが最後のクリーンヒットとなり、1R終了。お互いが寝技を警戒したために、スリリングな打撃戦となった1Rであった。内容はほぼ互角で、有効打はお互いキックをヒットさせたのみであった。

2R 桜庭のアームロックが炸裂!ヘンゾの肘が危険な角度に折れ曲がる

2R、開始。お互い疲れた感じは全然見せず、闘志を内に秘めたいい表情をしている。お互い間合いを探り合ったあと、ヘンゾがパンチで飛び込むも桜庭がカウンターのタックルでテイクダウン。猪木アリ状態からローキックやスライディングキックを繰り出すも、クリーンヒットせず。ならばと、スピンキックを寝るヘンゾの足にぶち込んだ。しばらく猪木アリ状態での蹴り合いが続いたが、業を煮やした桜庭が側転パスガードを見せると場内は大きく湧く。

側転パスガード後も探り合いが続くなか、ヘンゾは隙を見て立つことに成功するも、またすぐに桜庭にテイクダウンされてしまう。ヘンゾはバタフライガードで対抗し、桜庭も積極的にパスガードを仕掛けていく。桜庭のパスガードの動きは非常によいものの、さすがヘンゾは寝技世界一だけあって絶対にパスガードをさせない。さらにヘンゾは、桜庭の動きを潰すためにクローズドガードでガッチリと固め、桜庭に動くスペースを与えない。

しばらくクローズドガードが続いたが、ヘンゾが極めを狙いラバーガードの動きを見せたことで桜庭にスペースが生まれ、またも猪木アリ状態となる。桜庭はヘンゾの足首を掴み、オリジナル技の炎のコマを見せるも、ヘンゾの下からの蹴り上げを警戒し、思ったように回せない。そして、桜庭に隙が生まれ、またしてもヘンゾに立たれてしまう。お互い打撃を交換し合ったあと、桜庭のシングルレッグが決まりヘンゾをテイクダウン。しかしヘンゾは、スパイダーガードから蹴り上げ、デラヒーバガードという見事なガードワークを見せ、桜庭のバックポジションを奪取したのだった。

桜庭はバックを取られながらも、瞬間的にヘンゾの左腕を得意のダブルリストにクラッチ。ヘンゾはバックコントロールで桜庭を崩すも、桜庭はクラッチを外さない。そして「残り時間1分」とコールされたタイミングでヘンゾが動き展開を作ろうとするしたが、桜庭はそのヘンゾの動きに合わせてアームロック一閃! ヘンゾが逃げようと回転したことで逆に勢いがついてしまい、ヘンゾの左肘はあらぬ方向にグニャリと曲がってしまった。

ヘンゾはそれでもギブアップをしなかったが、危険と判断したレフェリーが慌てて試合をストップ。桜庭の見事な一本勝ちであった。また、レフェリーストップであったものの、ヘンゾ・グレイシーも潔く自身の負けを認め、桜庭を讃える。お互いが全力を尽くした素晴らしい試合に、会場は両者を讃えるために割れんばかりの拍手と歓声に包まれたのだった。

桜庭は、ホイラー・グレイシー、ホイス・グレイシー、そしてヘンゾ・グレイシーを下したことで“グレイシーハンター”と呼ばれるようになるが、なによりもグレイシー一族でもっとも精力的にMMAに取り組んできたヘンゾを一本で下したことは快挙であり、当時の桜庭和志がいかに強かったかがわかる。桜庭和志にとって最高の実績といってもいいこの一戦こそ、伝説の名勝負と呼ぶにふさわしい。

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