釣りとはまったく関係ないけど、管理人が選ぶ伝説の名勝負

第26戦 皇帝・エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦
vsアンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)

エメリヤーエンコ・ヒョードルMMAグローブはマーシャルワールド

エメリヤーエンコ・ヒョードル

ウクライナ出身のロシア人格闘家、1976年生まれ。柔道でヨーロッパトップクラスの実力を有した実績を引っさげ、ヴォルク・ハン主催の道場に入門。2000年にプロ格闘家デビューを果たすと、一気に潜在能力が開花。元・柔道家とは思えない強烈過ぎる打撃を武器に、強豪をことごとく撃破し、プロデビューから数年後には“世界最強”の格闘家として世界中から認識されるようになる。
2000年に一度、アクシデントによる負けを喫してから、2010年にファブリシオ・ヴェウドゥムに敗れるまで、10年間無敗を続ける快挙を成し遂げるも、その後、連敗したこともあり2012年にプロ格闘家を引退。引退後はロシアスポーツ省に入省し、ロシア格闘技連盟の代表に就任する。

1R PRIDEヘビー級トップ選手、コールマン、ハントを腕関節葬

ミルコ・クロコップに完勝したエメリヤーエンコ・ヒョードルは、強打ゆえに拳のケガに悩まされ、2006年10月21日、アメリカで10ヵ月ぶりの試合をマーク・コールマンと行った。コールマンには過去に勝利しているため、この試合はコールマンにとってのリベンジマッチとなる。コールマンはPRIDEにおいては初の出身国での試合となり、気合いは十分だ。

しかし、試合が始まるとほぼ一方的な展開となった。ヒョードルは得意の打撃でコールマンを追い込み、コールマンはヒョードルの足にしがみつくのが精一杯。ヒョードルはコツコツと細かいパンチをコールマンの頭部に集める。MMAファイターとしての実力差は歴然であり、ヒョードルは打撃と絞め技でコールマンを攻め続ける。コールマンはレスラーとして意地のテイクダウンを奪ったものの、ヒョードルは下から腕十字をズバリと極め決着をつけた。

次戦は日本の大晦日、PRIDE男祭り2006。相手はサモアの怪人ことマーク・ハントだ。ハントは立ち技最強を決めるK-1グランプリを制したほどのストライカーで、PRIDEでもヴァンダレイ・シウバやミルコ・クロコップをスプリット判定ながらも下した実力者だ。実績ではヒョードルのほうが上であるが決して侮ることはできない難敵といえる。

試合開始、お互いジャブの突き合い。ハントのジャブをヒョードルはスウェーバックでかわし、タイミングよくテイクダウン。ヒョードルはあっさりとマウントを奪ってから腕十字に移行する。腕十字が極めかかるも、ハントを体を回転しなんとか脱出、そしてサイドポジションを奪う。ややあってヒョードルはハントの寝技から逃れるも、消耗したか、スタンドでの動きがにぶい。

パンチの交錯後、ヒョードルはシングルレッグから釣り込み足でテイクダウンにいくも、ハントに返され再びサイドポジションを奪われる。ヒョードルは消耗が激しく、V1アームロックを極められかけてしまう。ヒョードルはなんとかアームロックを逃れ、スタンドアップに戻す。その後、打撃の応酬からテイクダウンを取り、アームロックをガッチリと極めて勝利したが、ヒョードルは調整に失敗したか、あまりいいところなく、ギリギリの勝利といった内容だった。

2R PRIDE崩壊するも、なおも続く連勝街道。元UFC王者にも完勝

ヒョードルはPRIDE絶対王者として君臨していたものの、PRIDEはフジテレビから放映契約を打ち切られたことなどが原因で崩壊。しかしヒョードルは依然として好調を維持し、ロシアで元五輪レスリング選手マット・リンドランドと対戦し、1R2分58秒で腕十字葬。さらに、2007年の大晦日には元PRIDEスタッフが開催した「やれんのか!」というイベントにも参加し、韓流大巨人とも呼ばれる韓国のチェ・ホンマンと対戦。ヒョードルとホンマンでは圧倒的な体格差があったものの、ただデカイだけのホンマンをまったく相手とせず、1R1分54秒、腕十字で完勝した。

ヒョードルはチェ・ホンマンに勝利後、アメリカのアフリクションという新興格闘技団体への参戦が決定。アフリクションでの初戦の相手は元UFCヘビー級王者のティム・シルビアだ。シルビアは203cm、120kgという巨躯を活かしたストライキングが持ち味で、リコ・ロドリゲス、アンドレイ・アルロフスキー、ジェフ・モンソン、ブランドン・ヴェラといった実力者から勝利している。しかし、寝技に少々難があるために取りこぼしも多く、関節技でのタップアウト負けの多い選手でもある。ヒョードルにとっては、セーム・シュルト戦以来の本格的打撃テクニックを備えた長身選手との対戦といえる。

2008年7月19日、ヒョードルvsシルビアの試合。両者がリングの中央で向かい合うと、頭ひとつ分、シルビアのほうが大きい。試合開始、シルビアはヒョードルの強烈な打撃を警戒し、ガードを固めてジャブを突く。しかし、ヒョードルは意に介さず、左フックで飛び込むと、左右のフックとアッパーでシルビアを殴り倒す。寝技でもパウンドの雨を降らせた後、バックチョークで締め上げタップアウト勝利。元UFCヘビー級王者をまったく問題にせず、わずか1R36秒で下してしまった。

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3R アルロフスキーと高度なボクシング戦! 勝負を決めた氷の拳!

シルビアに快勝したヒョードルの次戦は、またも元UFCヘビー級王者のアンドレイ・アルロフスキー。アルロフスキーはベラルーシでサンボとキックボクシングを習得後、UFCに参戦。アメリカでボクシングに取り組んだことで才能が開花し、ウラジミール・マティシェンコ、ファブリシオ・ヴェウドゥム、ベン・ロズウェル、ロイ・ネルソンといった強豪を下している。アルロフスキーは、ヒョードルにいいところなく負けたシルビアには負け越しているものの、精密な打撃と強烈なサブミッションを武器にシルビア以上の戦績を残しており、かなり厳しい相手といえる。

2009年1月24日、試合。両者が向かい合うと、アルロフスキーのほうがだいぶデカイ。試合開始すぐ、アルロフスキーは左のインローを蹴り、ヒョードルがバランスを崩したとろこに右ストレートを叩き込む。アルロフスキーはインロー&ストレートを徹底することで、ヒョードルに付け入る隙を与えない。アルロフスキーはこの一戦のために、世界的ボクシングトレーナーのフレディ・ローチに師事し、得意のボクシングをさらに磨きを掛けることに成功したようだ。

ヒョードルはアルロフスキーの打撃を嫌がり組み付くも、往年のキレはなく、テイクダウンを奪えないばかりか右アッパーをキレイに決められてしまう。ヒョードルはそれでも諦めず四つ組でテイクダウンを狙うも、アルロフスキーのバランスを崩すことができない。レフェリーは膠着と見てブレイクを命じる。

リング中央で試合再開。アルロフスキーは左インローからワンツー。強烈なパンチがヒョードルの顔面を捉える。さらに、右ストレート→左ボディージャブ→ワンツーと攻め立て、さらに前蹴りをヒョードルのボディーに突き刺した。攻め手に欠くヒョードルが真っ直ぐ下がってしまった刹那、アルロフスキーは飛び膝蹴り。しかし、同タイミングでヒョードルも右のスイングフックを強振しており、飛び上がった瞬間のアルロフスキーの顎に直撃! アルロフスキーは瞬間に失神し、顔面からマットへ落下するという、誰の目からも明らかな、衝撃的な失神KO負けとなってしまった。

この試合はアルロフスキーのボクシングテクニックが光った試合であったが、ヒョードルのチャンスを逃さない勝負勘と、一発で倒せるパンチの強さが改めて浮き彫りとなった試合でもあった。ピンチに陥っても精神を乱さず冷静に戦い抜いたヒョードルの評価はさらに上昇し、アメリカにおいても“世界最強”の評価を不動のものとしたのだった。

4R その後、力が急速に衰え三連敗。氷の皇帝に訪れた引退の時

アルロフスキーには勝利したが、試合そのものはミルコ・クロコップやアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとしのぎを削っていた頃の技のキレとは程遠かったと言わざるをえず、次戦でもその衰えは隠せないものとなった。対戦相手はアメリカの巨漢格闘家のブレッド・ロジャースで、体格はヒョードルを圧倒している。アルロフスキー戦と比べれば動きは良かったが、体格に勝る相手に手を焼き、最後はパンチでKO勝ちこそしたものの、無敵の強さを誇った全盛期と比べるとハッキリと見劣りする内容だった。

以降、スピードと技のキレを失ったヒョードルは小柄ないちヘビー級選手に過ぎず、ファブリシオ・ヴェウドゥムに三角絞めで締め上げられキャリア初のタップアウト負けを喫する。この敗北後、衰えはさらに顕著となり、次戦のアントニオ・シウバ戦では終始パワーで圧倒され続け、結局、右目の負傷でドクターストップ負け。さらには、自身よりも体格の小さいダン・ヘンダーソンにもKO負けしてしまい、ヒョードルは引退を決意したのだった。

引退を決意したヒョードルは、その後三試合を戦ったが、どの試合も引退セレモニー的な意味合いの試合であり、相手はいずれも格下ばかり。アメリカのジェフ・モンソンには判定勝ちし、日本の石井 慧、引退試合となったブラジルのペドロ・ヒーゾにはさすがに格の違いを見せつけKO勝ちを飾った。

キャリア晩年に三連敗を喫したものの、ヒョードルの実績は当時はピカイチであり、世界中のファンやファイターから“世界最強”と認められる唯一の存在であった。エメリヤーエンコ・ヒョードルは真に偉大なMMAファイターであり、キャリア晩年の試合となったアンドレイ・アルロフスキー戦は、改めて世界中にその力を示した最後の試合となったのだから、伝説の名勝負と呼ぶにふさわしい。これにて、エメリヤーエンコ・ヒョードルの伝説の名勝負は完。

過去の伝説の名勝負

第26戦 皇帝・エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsアンドレイ・アルロフスキー

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