漫画家・つの丸先生の代表作で、第42回(平成8年度)小学館漫画賞児童部門受賞作品。 桜花賞馬ミドリコの仔として産声を上げたマキバオー(うんこたれ蔵)の成り上がりストーリーがテーマとなっている。 マキバオーは当初、そのロバのような犬のような容姿のため馬主からはまったく期待を持たれなかったが、才能は同世代馬の中でもトップクラスであり、 ライバル馬のカスケード、アマゴワクチン、サトミアマゾン、アンカルジア、ニトロニクス、ベアナックルなどと死闘を繰り広げ、成長していく。 特に世代最強馬であるカスケードとのレースはまさに名勝負といえる内容であり、カスケードはマキバオーにとって常に高い壁としてそびえ立つ。 果たしてマキバオーはカスケードを越えられるのか!?
チュウ兵衛を亡くしたことでマキバオーは心神喪失の虚脱状態に。当然、次戦を戦えるコンディションではなくなり、生まれ故郷・北海道鵡川のみどり牧場へ放牧に出される。しかし、マキバオーの心神喪失状態意は一向によくならず、ついには夢遊病患者のように無意識にフラフラと出歩いてしまい、牧場を抜け出してしまう。
彷徨したマキバオーは、いつの間にか隣町のトゥインクル草競馬場に迷い込んでしまい、その草競馬を主催するヤクザの宮蔦親分に保護される。宮蔦親分の所有馬のなかには、まるでマキバオーにそっくりな牝馬・マキバコがおり、マキバオーは運命的な出会いを果たす。後に、二頭はミドリコ産駒の兄妹だと判明する。
マキバオーファンの宮蔦は、マキバオーを自身が主催する草レースに勝手に出走させてしまう。この草レースは完全な八百長レースであり、宮蔦の筋書きでは、最後の直線でマキバオーがマキバコを差して勝ち、故郷に錦を飾るというものであった。しかし、ダービー以来、レースがトラウマとなってしまったマキバオーは、最後の直線に入ると視界がゆがむようになり、まともに走れなくなってしまった。レースは大敗。結果的に八百長ではなくなったものの、観客からは八百長だと騒がれてしまい、宮蔦はひどい目にあってしまったのだった。
マキバオーのトラウマは相当な重症で、草レースを何回走っても、最後の直線で必ず視界がゆがんでしまい、八百長レースにも関わらず敗北を続けてしまう。そんな折、失踪したマキバオーの情報を聞きつけた馬主の飯富源次郎が宮蔦の元を訪ね、引き取りにくる。飯富は事情を話しマキバオーを引き取ろうとするも、宮蔦は頼まれていないのに自分が一肌脱ぐことで、マキバオーを復活させることを決意する。困惑する飯富であったが、ヤクザ者の宮蔦に凄まれると飯富も気圧されてしまい、渋々了承することとなった。
いままでの草レースは八百長であったが、宮蔦は完全なガチンコでレースすることをマキバオーたちに告げる。すっかり自信を無くしてしまったマキバオーは、久しぶりのガチンコレースに恐怖を覚えるも、待ったなし。レーススタート。案の定、視界がゆがみまともに走れないマキバオーであるが、弱気になったマキバオーの心に、亡霊となって現れたチュウ兵衛が渇を入れる。このレースでなんとかトラウマを克服することができ、マキバオーはやっと復帰を果たすのであった。
また、マキバコも飯富に引き取られることになり、競走馬として調教を受けることになった。この一件で、みどり牧場と宮蔦組に強固な関係が築かれることになったのだった。
心神喪失状態から復活したマキバオーはさっそく本格的な調教に入る。次なる目標は長距離レースの菊花賞。しかし、マキバオーの距離特性は短距離向き。そこで調教師の飯富昌虎は、長距離レースで勝てる体を作るべく、障害の特訓をさせることに。ジョッキーの山本菅助や『週刊競馬ゴング』の嶋島は大反対するも、同じG1馬のスーパースナッズも菊花賞を勝つために障害で鍛えていることを知り、菅助と嶋島を黙らせるのだった。
ダービーホースとして障害未勝利戦に望むマキバオー。成長痛によりマスタングスペシャルは出せなかったものの、問題なくクリアー。障害調教によりマキバオーの尻はたくましく成長しており、飯富の目的は達成。仕上げとして、成長痛を悪化させないために、激流昇りの水泳トレーニングで鍛えるのであった。
一方、血統的にも菊花賞の最有力馬と目されているアマゴワクチンは、右脚骨折を乗り越え、GIIIレースの函館記念に出走。ダービーに出走できなかった鬱憤を晴らすかのごとく、並み居る古馬たちを相手に大逃げで完勝。続けて菊花賞トライアルのGII・神戸新聞杯も制し、気力十分、万全のコンディションで菊へと臨む。
また、同じく長距離を得意とするサトミアマゾンも菊花賞トライアルのGII・セントライト記念を制し、菊花賞に出場決定。カスケードは出走しないものの、距離特性的にはカスケードよりも怖いメンバーが多数出走することになった。
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いよいよ菊花賞の開幕。大本命はやはりアマゴワクチン、2番人気はマキバオー。公営競馬の星・サトミアマゾンは3番人気だ。今回のサトミアマゾンは、トレードマークの赤いブリンカーを外し、素顔で勝負する。ほかに、青葉賞でマキバオーに勝ったベアナックル、京都新聞杯2着のモーリアロー、その京都新聞杯を制したプレミア、オークス馬のスーパースナッズも出走だ。
返し馬後、西中央G1レースの軽快なファンファーレが鳴り響き、各馬ゲートイン。いよいよ本当に強い4歳馬を決める菊花賞のスタートだ。まず先頭に立ったとのはマーク屋で知られるサトミアマゾン。そのサトミアマゾンにオークス馬のスーパースナッズがピタリと並ぶ。予想外の展開に早速場内はどよめく。マキバオーやアマゴワクチンは中団やや後方の位置取り。ワクチンは乱ペースを得意としているだけに、マークのし過ぎは墓穴を掘る可能性大だ。
スタート直後、珍しく引っかかった様子のないベアナックルであったが、すぐに全馬からマークされているという思い込みから引っかかってしまい、ゆっくり下るのが原則の淀の坂を猪突猛進。下り坂のすぐ後にあるコーナーを曲がりきれず外ラチへと突っ込んでしまう。ベアナックルはとっさにラチを蹴って難を逃れるも、菊花賞、この馬にはちょっと厳しいか。
先頭を走るサトミアマゾンは、これが中央挑戦最後と決めているだけあって、並々ならない気合の走り。残り半分で、後方とはすでに10馬身差開いており、このまま推移すれば、直線の短いこの競馬場で逆転されることはまずありえない。地方在籍のままクラシックを制覇すれば、歴史的快挙の達成だ。果たしてこのまま行けるか?
中団は依然としてアマゴワクチンを警戒して、前になかなか出られない。残り1,000m、サトミアマゾンとは、決定的とも思える15馬身差もついてしまった。この時点で勝負あったか。
残り1,000m、アマゴワクチンは動かない。ついに痺れを切らして上がっていく馬たちが続出し始めた。しかし、焦り上がっていった馬はすでに勝負あり。アマゴワクチンのペースにすでに潰されてしまったと見ていい。
しかし、サトミアマゾンと15馬身差、カスケード級の末脚でもない限り逆転できる差ではない。ましてサトミアマゾンは長距離を苦にしないだけに、後半になればなるほど逆転の見込みがなくなる。アマゴワクチンもわかっているはずだが、一体どうやって勝負しようというのか?
我慢の展開が続くなか、ついにマキバオー陣営が勝負に出る。なんと鞍上の山本菅助が、残り600mの標識、下り坂の手前からマキバオーにマスタングスペシャルで勝負することを命じたのだ。無謀とも思える指示にマキバオーは異を唱えるも、夏の修行で自信をつけた菅助はマキバオーを制し、マスタングスペシャルで勝負することを厳命。しかしそれでは、下り坂すぐ後のコーナーを曲がりきれず、ベアナックルの二の舞にならないか!?
いよいよ残り600m、マキバオーはマスタングスペシャルで一気に坂を下る。無謀ともいえる行為に、モーリアローはマキバオーが勝手に自爆したと自身の勝機を見出し笑うが、マキバオーの動きに呼応するように、下り坂でもう一頭、スパートをかけた馬が。そう、菊花賞大本命馬・アマゴワクチンだ! なんとアマゴワクチンも、最後の下り坂で勝負に出る作戦で、下りの勢いを利用してサトミアマゾンとの15馬身差を一気に逆転する大胆な仕掛けに出た。他の馬が鉄則通りにゆっくりと下っている分、大外を回る不利も帳消しとなるのだ。しかし、一方のマキバオーのポジションはイン。果たして淀の下りを、この勢いで曲がれるのか!?
G1レース、初めて一人での騎乗となった菅助は思いのたけをぶちまける。
「親分さん・・・・・・。親分さんならこのレースどうやって乗りましたか? もっと・・・もっとうまい事乗ってたでしょうね・・・。でも僕は山本菅助・・・親分さんにはなれないんです。『こんな所からスペシャル出しやがって』なんて怒らないで下さいね。こんな僕でもこの夏たれ蔵くんと離れて一人でやってきた自信があるんです。これから僕が・・・僕が・・・たれ蔵くんを引っ張っていかなくちゃ・・・親分さんの代わりじゃなく・・・僕が正騎手にならなくちゃ・・・任せてくれますよね親分さん!!
見てて下さい親分! これが親分の一番弟子・・・山本菅助だぁ~~~~~~!!! いやああああああああ!!! 曲がれええええ!! たれ蔵くん」
と絶叫すると、菅助は体を横に大きく傾ける! ジョッキーではなく、まるでライダーのごとくハングオンを繰り出したのだ! 外へと逃げる遠心力がついたマキバオーの体が、内ラチのギリギリを曲がっていく! 直線に入る頃には、サトミアマゾンの後ろにピッタリとつけることに成功。菅助の見事な騎乗で、マキバオーの菊制覇が一気に見えた!
菅助のハングオンに場内はどよめく。もちろんレースを走る馬たちにも動揺を与え、ベアナックルは再度引っかかってしまい外ラチへと突っ込み、睾丸をラチに強打し失神失格。また、他馬もスタミナを切らし次々と脱落だ。残されたのは先頭からサトミアマゾン、マキバオー、スーパースナッズ、モーリアロー、サトミアマゾン、プレミアの実力馬6頭となった。
マキバオーの猛追にサトミアマゾンも応える。皐月賞、ダービーでは敗北を味わわされただけに「その白く小さな壁にはね返されて来た・・・・・・だが今回だけは・・・今回ばかりは・・・その屈辱をキサミに味わってもらうぜ!!」と、勢いよく飛び込んできたマキバオーに前を譲らず、意地の走りで突き放す。最後の中央挑戦となるだけに、気合いはマキバオー以上か。
しかし、菅助は最後の切り札“きつつき戦法”で勝負に出る。残り200m、とうとうマキバオーが先頭に立つ。が、ここで飛び出したのはアマゴワクチン! アマゴワクチンの勢いは止まらず、あっという間に一馬身差をつけてしまう。ピーターII&アマゴワクチン兄弟という名馬に騎乗しながらも、不運に見舞われ続けた山中騎手も吠える。
「満身創痍の皐月賞・・・・・・お前は直線で失速しながらどんな想いで奴等を見てた!? 脚の痛みをこらえて何を考えていた!! 見守るだけの日本ダービー・・・20万人の大歓声をお前はどんな想いで聞いていた!? オレはもうゴメンだぜ!! ピーターII・・・そしてお前という名馬と組みながら他の奴らに栄光を譲るのは!! ワクチン! お前はどうなんだ!!」
山中のムチにアマゴワクチンも大いに応え、マキバオーをグングンと引き離す。このレースに賭ける想いはアマゴワクチンのほうが強いか。マキバオーはきつつき戦法も続かず、もはやいっぱいの様子。そしてサトミアマゾンもまた、菊花賞への想いはマキバオーを上回り、再度マキバオーを差し返す。マキバオーは完全に終わった。
残り数十m、アマゴワクチンとサトミアマゾンの勝負。勢いはサトミアマゾンか、アマゴワクチン粘れるか!? 果たして結果は、アマゴワクチンがリードを守り抜き、結局、一馬身差離して完全勝利! 世代3強の一角として、真の最強4歳馬決定戦と評価されるマラソンレース・菊花賞を制し、アマゴワクチンの力がマキバオーやカスケードに劣るものではないことを証明したのだった。そして、世代最強を決める場は最終決戦・有馬記念に持ち越された。
アマゴワクチンが維持を見せ、サトミアマゾンも存分に強さを発揮、そして山本菅助が一流ジョッキーの仲間入りを果たしたこの菊花賞こそ、伝説の名勝負と呼ぶのにふさわしい。
第7戦 みどりのマキバオー 第1巻 マキバオーvsカスケード
第8戦 みどりのマキバオー 第2巻 マキバオーvsヒゲサンダー
第9戦 みどりのマキバオー 第2巻 カスケードvsピーターⅡ
第10戦 みどりのマキバオー 第3巻 マキバオーvsニトロニクス
第13戦 みどりのマキバオー 第8巻 最強4歳馬決定戦!
死闘、日本ダービー(東京優駿)
第26戦 皇帝・エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsアンドレイ・アルロフスキー
第25戦 エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsミルコ・クロコップ
第24戦 エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
第23戦 エメリヤーエンコ・ヒョードルの世界を驚嘆させた一戦 vsアローナ、ババル
第22戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsゼルグ・弁慶・ガレシック
第21戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsヘンゾ・グレイシー
第20戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsカーロス・ニュートン
第19戦 桜庭和志の記憶に残る一本勝ち vsマーカス・コナン・シウヴェイラ
第18戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsガブリエル・ゴンザーガ
第17戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsケビン・ランデルマン
第16戦 ミルコ・クロコップ衝撃的な敗戦 vsアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
第15戦 みどりのマキバオー 第12巻 年度最強馬決定戦!有馬記念
第14戦 みどりのマキバオー 第10&11巻 4歳三冠最終戦、菊花賞
第13戦 みどりのマキバオー 第8巻 最強4歳馬決定戦!死闘、日本ダービー(東京優駿)
第10戦 みどりのマキバオー 第3巻 マキバオーvsニトロニクス
第9戦 みどりのマキバオー 第2巻 カスケードvsピーターⅡ
第8戦 みどりのマキバオー 第2巻 マキバオーvsヒゲサンダー
第7戦 みどりのマキバオー 第1巻 マキバオーvsカスケード
第6戦 美味しんぼ 第38巻 「ラーメン戦争」 山岡士郎vs流星一番亭
第5戦 美味しんぼ 第32巻 「新・豆腐勝負」 山岡士郎vs海原雄山
第4戦 美味しんぼ 第31巻 「鍋対決!!」 山岡士郎vs海原雄山
第3戦 美味しんぼ 第24巻「カレー勝負」 山岡士郎vs海原雄山
第2戦 美味しんぼ 第15巻 「究極vs至高」 山岡士郎vs海原雄山
第1戦 美味しんぼ 第1巻 「油の音」 山岡士郎vs海原雄山
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