高山勝成、超一線級で戦い続ける男の強さを見た!

2015.09.28

カテゴリー:格闘技の話題

IBF世界ミニマム級タイトルマッチ 高山勝成vs原隆二。結果は8RTKOで王者の拳が、見事、原隆二の野望を打ち砕いてみせた。

内容は1~3Rまで原隆二(1Rは大食い王を見ていて見逃しちゃいましたが)、4R以降は文句のつけようなく高山勝成が支配した。

戦前から言われていた、手数の高山、一発の原隆二という形になったけれど、勝敗を決定づけたのは技術でも体力でもなく精神力だった。

正直、技術的にいえば、両者の差はそんなにはなかったと思う。高山勝成は間違いなくミニマム級世界最強クラスの実力者ではあるけれど、原隆二だって世界レベルのボクサーだ。原隆二が王者を降す可能性は十分あった。

けれども一方的な内容となったのは、殺気、または殺意の差だったと思う。

3R、偶然のバッティングで王者が目尻をカットした後、原隆二はそれを狙うように右のストレート、フック、そして左のボディーフックの連打、完全にイケイケで攻撃をしていた。

4R、原隆二の攻撃に完全にキレたようで、確かに王者の目つきが変わり、冷静かつ凶暴に原隆二にゴツゴツとパンチを叩き込んだ。ボクシングというよりも総合格闘技的なゴツゴツ感というか、頭が当たっても気にせず前に出てくる王者に、「え、これ、ありなの?」と思っている間に飲まれてしまったように見えた。

やっぱりボクシングは格闘技であり、殺気を宿した者のほうが強いんですよ、間違いなく。最近はキレイなボクシングをする選手が多いけれど、高山勝成には格闘家の本質を大いに見させてもらった。

これで、天才・田中恒成との統一戦が俄然楽しみになった。スパーで何度も手合わせしているという両者だけれど、試合となればどちらが勝つかはまったくわからない。

どちらも殺気を持った選手だけに、試合が組まれれば、潰し合い、壊し合いの格闘技が見られるに違いない。

高山勝成vs田中恒成は、久しぶりにわくわくする、日本人同士のスーパーカードなのだ。

※敬称略


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WBA世界フライ級タイトルマッチ 井岡一翔vsロベルト・ドミンゴ・ソーサ

2015.09.28

カテゴリー:格闘技の話題

WBA世界フライ級タイトルマッチ 井岡一翔vsロベルト・ドミンゴ・ソーサをテレビ観戦。

1Rから12Rまで井岡のほぼパーフェクトゲームだったと思う。ソーサとは完全に技術差があった。ガッツリとアームガードで顔を守ったいつもの構えから、コツコツとパンチを積み重ね、12Rにはボディーショットでダウン寸前まで追い込んだ。

ソーサは長いリーチを活かしたぶん回し系のパンチであったものの、見た目の迫力以上にはパンチに力が乗っていなかったように見える。それにパンチを振り回しすぎたせいで、打ち終わりを井岡に狙われ、面白いようにパンチを当てられてしまった。

あの程度で技巧派チャンプの井岡に勝とうというのはちょっと無謀過ぎた。勝ち方のビジョンがあったのか、非常に疑問なチャレンジャーだったと言わざるをえない。美人マネージャーはよかったけれど。

しかし、井岡もちょっとお粗末。あれだけパンチを当てておきながら、ダウンすら奪えなかった。脇がしっかりと絞れ拳の角度が効いた、いわゆる硬いパンチにの部類に入るいいパンチを振るっているけれど、いかんせん威力不足。それに八重樫戦で見せたパンチのキレも最近では感じられなくなった。

どうにもこわごわ打ちすぎているきらいがあり、パンチに重みがないと、元チャンピオンの内藤大助さんにも指摘をされていた。

そして上体が相変わらず硬すぎる。柔軟性がないから、ディフェンスはアームガードとバックステップ、それにたまのダッキング程度。アムナット・ルエンロン戦で翻弄された敗戦がまったく活かされていない。

井岡一翔は間違いなく強いのだけれど、他のフライ級チャンピオンのエストラーダ、ロマゴン、そしてアムナットとは一枚どころか数枚劣る。

今のファイトスタイルを続けているうちは、本物の強者との防衛戦は難しい。攻撃も防御も、もう一度、見直す必要があると思う。

間違いなく才能があるし、ひたむきに努力のできる心が清く美しい選手だと思うからこそ、もうひと皮剥けた姿が見たいのだ。

※敬称略


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死闘だった、山中慎介vsアンセルモ・モレノ

2015.09.24

カテゴリー:格闘技の話題

2015年9月22日、WBC世界バンタム級タイトルマッチ 王者・山中慎介vs挑戦者・アンセルモ・モレノ、12Rの攻防の末、2-1でチャンピオンが最強チャレンジャーを振り切ってみせた。

内容としては五分、若干チャレンジャーが優勢であったけれども、プロの世界は単純なポイントゲームではないから、モレノは王者を圧倒できなかった以上、ほぼ五分の内容なら山中勝利は揺るがない。

それがわかっていたからこそ、モレノの引き際は見事。明確な差を見せられなかったのだから、山中ホームでもあるし、文句を付けなかったのだろう。

さて、個人的には戦前、モレノが足を使い、山中の攻撃をすかすのではないかと思っていた。しかし、1Rから真っ向勝負にきたのだから恐れ入った。

上体をやわらかく使い、紙一重でチャンピオンの強打をディフェンスしてみせ、マニアならずとも唸るディフェンステクニックを披露。

要所要所でボタンを押すかのような軽いジャブをクリーンし、9Rにはカウンターでダウン寸前まで追い込んだ。あそこでダウンを取っていたら、モレノの勝ちは揺るがなかったと思う。

山中が苦戦した理由は、もちろんモレノの凄まじいテクニックにあるけれど、ちょっと攻め手のバリエーションが少なかったように思える。

陣営は左ストレートをとにかく体のどこかしらに当ててビビらせようという作戦だったらしいけれど、まさに柳に風で暖簾に腕押し、挑戦者のやわらかさが強打を無力化させてしまった。

お互いサウスポーの相四つ、さらに真っ向勝負にきているのだから、前の手の右でボディーフック、クォーターの角度で打つアッパーフック、さらにはロシア打ちのようなロングフックも有効だったかもしれない(この場合は左だけれど)。

ま、上体のやわらかさだけではかわすことができないフック系統のパンチこそ、実はモレノの誘いだった可能性は高く、実際、9Rにドンピシャのタイミングで決められたカウンターは、大振りのフックに合わせたもの。

つまりはチャレンジャーとして過去最強の相手であったことは間違いなく、その相手をなんとか振り切った山中慎介はやっぱり強いの一言。

クリーンヒットは少なかったものの、カウンターを狙う相手に最後まで攻めの姿勢を崩さず、チャンピオンの名に恥じない試合を見せてくれた。

フックやアッパーをもう少し有効に使えていたらという感はあるけれど、あれだけの相手だからこそ、自分のもっとも自信のある左右のストレートで勝負にいったのは、結果、正解だったかもしれない。

底力があるからこそ、ギリギリで勝利できたのだから、今回の試合も、改めて山中慎介の強さが浮き彫りになったと思う。

9回目の防衛、おめでとうございます!

※敬称略


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