死闘だった、山中慎介vsアンセルモ・モレノ

2015.09.24

カテゴリー:格闘技の話題

2015年9月22日、WBC世界バンタム級タイトルマッチ 王者・山中慎介vs挑戦者・アンセルモ・モレノ、12Rの攻防の末、2-1でチャンピオンが最強チャレンジャーを振り切ってみせた。

内容としては五分、若干チャレンジャーが優勢であったけれども、プロの世界は単純なポイントゲームではないから、モレノは王者を圧倒できなかった以上、ほぼ五分の内容なら山中勝利は揺るがない。

それがわかっていたからこそ、モレノの引き際は見事。明確な差を見せられなかったのだから、山中ホームでもあるし、文句を付けなかったのだろう。

さて、個人的には戦前、モレノが足を使い、山中の攻撃をすかすのではないかと思っていた。しかし、1Rから真っ向勝負にきたのだから恐れ入った。

上体をやわらかく使い、紙一重でチャンピオンの強打をディフェンスしてみせ、マニアならずとも唸るディフェンステクニックを披露。

要所要所でボタンを押すかのような軽いジャブをクリーンし、9Rにはカウンターでダウン寸前まで追い込んだ。あそこでダウンを取っていたら、モレノの勝ちは揺るがなかったと思う。

山中が苦戦した理由は、もちろんモレノの凄まじいテクニックにあるけれど、ちょっと攻め手のバリエーションが少なかったように思える。

陣営は左ストレートをとにかく体のどこかしらに当ててビビらせようという作戦だったらしいけれど、まさに柳に風で暖簾に腕押し、挑戦者のやわらかさが強打を無力化させてしまった。

お互いサウスポーの相四つ、さらに真っ向勝負にきているのだから、前の手の右でボディーフック、クォーターの角度で打つアッパーフック、さらにはロシア打ちのようなロングフックも有効だったかもしれない(この場合は左だけれど)。

ま、上体のやわらかさだけではかわすことができないフック系統のパンチこそ、実はモレノの誘いだった可能性は高く、実際、9Rにドンピシャのタイミングで決められたカウンターは、大振りのフックに合わせたもの。

つまりはチャレンジャーとして過去最強の相手であったことは間違いなく、その相手をなんとか振り切った山中慎介はやっぱり強いの一言。

クリーンヒットは少なかったものの、カウンターを狙う相手に最後まで攻めの姿勢を崩さず、チャンピオンの名に恥じない試合を見せてくれた。

フックやアッパーをもう少し有効に使えていたらという感はあるけれど、あれだけの相手だからこそ、自分のもっとも自信のある左右のストレートで勝負にいったのは、結果、正解だったかもしれない。

底力があるからこそ、ギリギリで勝利できたのだから、今回の試合も、改めて山中慎介の強さが浮き彫りになったと思う。

9回目の防衛、おめでとうございます!

※敬称略


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