木村政彦に力道山は殺せなかった!?

2014.04.01

カテゴリー:格闘技の話題

増田俊也氏の著書『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、一般にも木村政彦の名が知れ渡ることとなった。

さてさて、わたしは増田氏の著書は読んでいないのだけど、YouTubeにアップされている映像を見て、わたしなりに、この試合を見てみることにした。

まずこの試合、明らかに勝敗や流れがが決まった(いわゆるブック)プロレスであることは間違いない。

だけれども、途中までは力道山がキレイなボディースラムやバックブリーカーを決めプロレス的な攻防に終始していたものの、4分30秒あたりから、力道山と木村政彦の組み方が明らかに変化する。

それまでロックアップだったが、突如四つ組みとなり、グレコローマンスタイルのレスリング勝負となる。この攻防はかなり力が入っていて、結果、力道山が釣り上げからの浴びせ倒しで、木村政彦をテイクダウンする。

おそらく、このあたりから、それまでのプロレスからガチンコへと変わっていったのではないだろうか。

異変を感じ取った木村政彦も、テイクダウンされた瞬間、抑えこまれまいと、下から力道山の顔を蹴り上げ、寝技を脱出しているし、力道山はすぐにガブッて、ネックチャンスリーを決めている。

この後からの攻防は、むしろ力道山よりも木村政彦のほうが本気になったように見える。

キムラロックとも言われる腕絡みを、かなり本気になって極めにいっているし、その後も下からの蹴り上げや左一本背負いにいっている。

これらの攻防の後は、一触即発的な緊張がみなぎりつつも、お互いなんとかプロレスの試合を成立させようとロックアップの攻防を始める。

9分15秒頃、木村政彦の蹴りが力道山の下腹部付近に入り、瞬間的にキレた力道山が右ストレート。その後はもう力道山のやりたい放題で、強烈な張り手とサッカーボールキック、踏み付けで痛ぶり、最後は左右左の張り手で木村政彦を完全にKOしてしまった。


わたしが見た限りでは、最初に力道山が四つの攻防で仕掛け、木村政彦も本気になった。

だけれども、途中、木村政彦は力道山に、ガチンコで敵わないと判断したのではないだろうか?

ところどころ映像がカットされているからなんともいえないけど、腕絡みは力道山に防がれ、一本背負いも封じられ、そのうえ何度もガブリの体勢を取られている。

この試合の時点で、グラップラーとして優っていたのは力道山であることは確実だ。力道山のほうが身体がデカいし、パワーも上。木村政彦は為す術がなかった。

それに完全に勝負を捨てていると感じたのは、力道山がキレて打撃を見舞っている際、木村政彦はあろうことか、力道山ではなくレフェリーに顔を向け、何事か抗議をしている。

猛然と襲い掛かってくる力道山を目の前にしてこの対応は、勝負を捨てている以外の何物でもない。木村政彦が本当に力道山よりも強ければ、瞬間的に組み伏せることだってできたはずだ。

結局、木村政彦は勝てないからレフェリーに助けを求め、あれよあれよとKOされてしまったと、わたしには見える。


木村政彦が本当に強い柔道家であったことは歴史的事実だ。しかし、力道山との試合の時点では、力道山よりも弱かった。ただそれだけのことだと思う。

この試合の力道山はかなり仕上がっている身体つきをしているし、木村政彦は前日に大酒を食らっていたという証言もある。

ルール破りをしたのは力道山であるけど、力道山のルール破りに木村政彦は勝負師として対応できなかったのだから言い訳はできない。試合前には真剣勝負なら負けないと嘯いていたわけであるし。


だからわたしは、最強の柔道家として君臨してからの木村政彦の初敗北が力道山だったと思っている。

ま、上記の映像だけを見ただけの感想であるけれど。


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