強すぎる河野公平、Sフライ級王者に返り咲き

2014.03.27

カテゴリー:格闘技の話題

河野公平選手が、デンカオセーン・カオウィチットをKOで下し、WBAスーパーフライ級世界王者に返り咲いた。

デンカオセーンはとんでもない実力者で、実績は河野選手以上だ。老獪なテクニックを持つだけではなく、パンチ力も強烈。37歳という年齢からくるスタミナのなさ以外、すべての要素で河野選手を上回っているといっても過言ではない。

しかし、そんな強豪をものともせず、まずは4回に右のカウンターでダウンを奪い、8回に体から突っ込むワンツーの右ストレートで完璧にKOしてしまった。

手数ではデンカオセーンだったけど、河野選手は序盤から左ジャブと右ストレートをよく当てていたし、有効打では完全に上回っていた。内容的にも完勝といっていい。

しかしまあ、河野選手は不思議なボクサーだ。スピードがあるわけでもないし、パンチが特別あるわけでもないし、人並み外れたボクシング脳(センス)があるわけでもない。

頭が下がったフォームでバタバタと動く、まあこういったら失礼だけど、とても世界王者になるような選手には見えない。

でも、試合後の河野選手のインタビューを聞いて、河野選手の強さがわかった。心技体のなかで特別“心”に秀でた選手なのだ。

おそらく、自身も才能の無さがわかっているから(河野選手、ごめんなさい)、トレーナーを信じて誰よりも練習するのだろう。スタミナだけは才能に関係なく、練習すればするほど平等に高めることができる。

それに、あれだけ脇がしっかり絞れたパンチが打てるのは、河野選手と井岡一翔選手ぐらいだろう。

脇が絞れた小さいパンチは、下半身と肩からの力が途中で逃げることなく拳に伝わり、しかも最短距離で相手に当てることができる。見た目以上に相手に効かすことができるのだ。

しかし、脇を絞ったパンチは振りが小さいぶん、強打とするには足腰と肩周りに強靭な筋肉を付ける必要がある。拳の角度も重要だ。

ミット打ちを気が遠くなるほど繰り返さなければならないし、各種走り込みやタイヤ打ち、背面腕立てなど、これまた気が遠くなるほど繰り返さなければならない。だけど、死ぬほど練習に練習を重ねて身に付けた技術だから、試合でもまったくブレることなく高精度で繰り出すことができる。

強い精神力で練習に打ち込み続けたからこそ、30歳を越えて、ようやく才能あふれる世界のボクサーたちに肩を並べることができただけではなく、世界チャンピオンに2度もなった。素晴らしい実績だ。

だから河野選手は33歳にして、まだまだ実力は伸びるはず。才能がないからこそ(本当にごめんなさい)、まだまだ強さに限界を感じないのだ。

とにかく河野選手には、努力し続けることの意義というのを見せてもらった。感動的な試合だった。

それにしても、今回の試合を後楽園ホールで観戦できたお客さんは羨ましい。ものすごい迫力だったろうなあ・・・・・・ああ、羨ましい!


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