井岡一翔、タイのアムナット・ルエンロンに判定負けで、プロ初敗北

2014.05.07

カテゴリー:格闘技の話題

井岡一翔選手がタイのアムナット・ルエンロン選手にプロ初敗北を喫した。

判定は2-1(113-114【井岡】、119-108【アムナット】、115-112【アムナット】)だったから、まあ、敵地防衛にありがちな相手に花を持たせた判定内容と言えそうだ。

わたしが見た限り、井岡選手が明確にポイントを取ったのはチャンピオンがホールディングで反則を取られた10Rだったかな、そのラウンドだけだ。あとは手数、有効打で圧倒できたラウンドはひとつもなかったと思う。よくてイーブンといったぐらいだ。

井岡選手が負けた理由のひとつとして、ガードが高すぎた。

解説の内藤さんも指摘していたけど、試合序盤、ディフェンスがガード一辺倒になってしまい、グローブを多く叩かれた。

井岡選手は試合を通じて、アッパーカットと何度かストレートをもらった以外はほとんどパンチを直撃されなかったけど、グローブを叩かれると音が派手に鳴り、ダメージはなくてもジャッジの印象が悪い。

それにガードが高すぎると視野が狭くなる。チャンピオンはリーチを活かしたフリッカースタイルだから、パンチを広角に打ち分けることができ、高いガードで視野の狭くなった井岡選手は対応できなかった。

もうひとつ、クリンチワークのテクニック差も大きかった。ガードが高く、クラウチング姿勢の井岡選手に対し、チャンピオンは下腹部を突き出し井岡選手の中に入ったことで、井岡選手は上体が浮き上がってしまった。

だから幾度と無くクリンチ姿勢から反則ギリギリのアッパーカットを入れられてしまい、しかもプッシングとまではいかないが、両手で突き放され、チャンピオンに常にジャブが入る距離を保たれてしまった。

チャンピオンのクリンチワークは、完全にムエタイ式の首相撲だ。ムエタイでは首を固めてくる相手に対し、首を下げずに下腹部を突き出し、距離を詰めてディフェンスをする。ムエタイでは当たり前のテクニックのひとつであるけど、ボクシング的にも有効な技術であるし、ムエタイを知らない人間には対応は難しい。

また、チャンピオンのスウェーも冴えた。井岡選手は脇が絞れた小さいパンチが持ち味だけど、フォロースルーが効かず、チャンピオンに簡単にスウェーバックでかわされてしまった。

内容的には完敗だったといえる。次戦は誰とやるかわからないが、今のスタイルのままだとちょっと厳しいだろう。

ディフェンステクニックを再構築する必要があるし、パンチも相手にプレッシャーを与えられるビッグパンチも必要になる。

う~ん、井岡選手は大阪なのだから、吉鷹弘先生にタイ式クリンチの対策を立ててもらえていたら、もしかしたら結果も違ったのかなとも思うけれど。

それにしても、タイボクサーらしい試合を披露したアムナット・ルエンロン選手は見事だった。後半ラウンドを流すところもいかにもタイ人らしい。

タイボクシングの奥深さを堪能でき、非常に面白い試合であった。ああ、アムナット選手と井上選手の試合が見たいのだ!


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