思わぬところで歴史戦
2016.04.07
カテゴリー:ただの日記
わたしが普段釣りをしている場所は、よく自衛隊の護衛艦が出入りが見える。わたしはその風景を好ましく思っていて、釣りをする手を止めて機能美にあふれた船を眺めている
すると突然初老の男が近寄ってきて、
「あんなもんを作るから税金が高くつく。無駄なものを作りたがるこの国はどうかしていると思いませんか?」
ということを言ってこられた。
わたしは全然そんなことを思わないので、「いやぁ~、どうなんでしょう」と相手をするのもイヤだからはぐらかしたのだけど、
「あなた、この国が一度滅んでしまったことを知らないんですか?」
とまくし立ててきた。
そこまで言われちゃ黙ってはいられないから、「日本は一度も国号が変わったことがないですし、滅んだ事実はありませんよ」とちょっとイラッとしつつも丁寧に応える。
すると、
「あらあら? 日本は統帥権のせいでボロボロになって、アメリカのおかげで立て直すことができたことを知らないんですか? 半藤一利とか司馬遼太郎とか読んだことがないんですか!?」
と、左翼なんだか右翼なんだかわからんことを言う。
軍部が統帥権を傘に戦争へと突入していった経緯はあるけれど、 戦争は当時の国民の総意であり、アメリカとの戦争に踏み切れない政府に対して批判が巻き起こっている。
それでも東條内閣は天皇陛下の意思を受けて戦争回避に尽力し、ハル・ノートを突きつけられ、ようやく戦争を決断したという経緯がある。
さらにアメリカのおかげで国が立て直すことができたという経緯はなく、アメリカのせいで叩き壊された産業インフラを一からやり直さなければならず、加えて敗戦賠償金の債務奴隷となり、それこそ耐え難きを耐え忍び難きを忍んでようやく立て直したのですよ、昭和の侍とその妻たちが。
半藤一利とか司馬遼太郎は小説家で、自分の意見を述べているに過ぎないのだから、それを正論のごとく語られても困ってしまうわけで。それにふたりとも、昭和の戦争には反対であっても基本的には大変な愛国者なわけだから。
あまりにもバカバカしいので「よく、わかりません。すみませんが」と何を言われても相手とすることをやめた。初老の方はなんとしてもわたしを与したかったようだが、あまり反論しても失礼になるし、何よりわたしは護衛艦が見たいし、釣りがしたい。
今時の若い者はという言葉があるけれど、ジイさん方も十分に非常識極まると思ったし、勉強不足だと感じた次第だ。
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