ヴァンダレイ・シウバの引退
2014.09.21
カテゴリー:格闘技の話題
ヴァンダレイ・シウバが引退を決めたようだ。UFCとの軋轢が原因というものの、近年の戦績、年齢を考えればいい決断だったと思う。
思い返すと、ヴァンダレイ・シウバの衝撃というのはものすごいものがあった。
それまでの日本の総合格闘技はいかにしてグレイシー柔術を攻略するかという一点であり、それは桜庭和志が打撃+レスリング+極め強さ、という今のMMAにも通じる戦法で見事に攻略した。
だけれども、シウバはさらにその上をいき、全局面打撃+フィジカルという武器で桜庭和志をいとも簡単に攻略してしまった。
当時は桜庭和志こそが世界で一番と目されていたから、シウバの登場はグレイシー柔術以上の衝撃だったといってもいいかもしれない。
シウバが桜庭和志を完膚なきまでに叩きのめしたものだから、それまで日本にあった“グレイシー憎し”というくだらない劣等感が一気に吹っ飛び、もっと高い視点から格闘技を見ないと、これからは強豪には絶対勝てないと強制的に悟らされた。
シウバの登場は、日本の格闘技ファンの目がニュートラルに、バックボーンや国籍よりも、強い奴を支持するようになったきっかけだったのかなと個人的に思っている。
ヴァンダレイ・シウバが偉大であるのは、それまでの打撃の常識を変えたことにあるのかなと。
それまで打撃選手は総合格闘技ではまったくといってもいいほど活躍ができていなかった。それは打撃系選手はステップを重視するため下半身が軽く、簡単に転ばされ寝技でやられてしまうのが常だった。
しかしシウバは、それまでの常識を捨て、体をほぼ正体に構え足をベタ足とすることで、下半身にどっしりとした力強さを生みだし、簡単にはテイクダウンを取らせなかった。
そうなると、組み技系の選手はシウバの打撃のプレッシャーに押され後ろに下がらされ、シウバは前に出てパンチを強振することができ、ベタ足でも十分強烈な有効打を放つことができた。
2010年頃にはシウバの戦い方も過去のものになってしまったけれど、どんなに劣勢となっても絶対に諦めず、最後まで戦うガッツは目を見張るものがあった。
ヴァンダレイ・シウバの引退は非常に残念。日本MMAの隆盛に貢献してくれた偉大な選手だった。